ゴキブリ

−−・・・・・・え?
気づいたのは起きてから、数分たってからのことだった。

G「・・・・・・ゴキブリになってる?」

昨日までは絶対にカブトムシだったはずなのに。
あの栄光のある・・・・・・そう、虫世界の王者のカブトムシ。
そもそもカブトムシがゴキブリというのはどうだろう。
普通なら、クワガタがゴキブリになるべきじゃないだろうか?

G「なった理由より、戻る方法・・・・・・」

そうだ、それが大切だ。
しかし、この姿のまま仲間と会うわけにはいかない。
どうにかしないと・・・・・・。

そうだ、人間の使っていたあの紐で頭部に枝を付ければいい。
われながら最高のアイデアだった。
これで、どこからどうみてもカブトムシになれるはずだ。

昔、俺も一回騙された事があった。
そのときは本当に悔しかったが、今は緊急事態だ。
仕方があるまい。

G「とりあえず、このくらい場所から・・・・・・」

ヒト「キャー!ゴキブリ!!」


暗い場所から逃げると、人間が驚き叫んだ。
俺は悪いゴキブリじゃない。
本当はカブトムシなんだ、そう言ったものの効果はないようだ。
どうしようかと思い、その場に踏みとどまっていると後ろからなにやら缶を持ったニンゲンが現れた。


ヒト「死ね!」


俺は咄嗟の判断で走り出した。
その缶から勢いよく煙が噴出したからだ。
何か危ない雰囲気を感じ取った。


ヒト「逃げるなあああああああああ!!!」


ニンゲンは必死に俺に煙を当てようとした。
だが、相手が悪い。俺は元カブトムシだ。
虫世界の王者なのだ。
俺はひょいひょいと体を走らせそのニンゲンの攻撃から逃れ暗闇へと逃れた。



G「どうにかなったな・・・・・・」


俺はそう、呟いた。
これではカブトムシに扮装どころではない。
どうにかこの家から出なくては・・・・・・。

それにしても、ゴキブリとはどいつもこんな扱いなのだろうか?
我等カブトムシにしてみれば哀れなものだ。
・・・・・・まあ、今はゴキブリだけども。


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