脱出劇


??「そこのお主よ。」


ああ…神の誘いかな。
それとも、死神?


??「…眼を開けなさい。」


なんだか、聞き覚えのある声だ…。
もしかして、ゴキ神様か?
ゴキ神様につれてかれるのは…ちょっと…なんかなー。


元G「ゴキ神様…?」

??「…ちょっと、違うの。あれはあれで、頑固だからのう…。」


…?
………え?
聞き慣れた声。
ま、まさか…まさか…。


元G「長老!?」


勢いよく眼を開けるとそこには、微笑む長老の姿があった。


長老「全く、迷惑ばかりかけるやつじゃ。」

元G「え…いや、すいませ…。じゃなくて、なんでこんなところに長老が…。」

長老「ほっほっほっほ」


長老は笑って見せた。


長老「説明する時間は今はちとないのだよ。」


落ち着いた声で、言う。
長老がいると、妙な安心感を得る。
なにをするわけでもない、してくれることもあまりない。

背中を押してくれるだけだった。

それでも、村長はとても頼りになった。

そんな安心感に浸っていると一階から、人間の叫び声が聞こえた。


元G「じゃ、じゃあ、どうすれば…。」


俺は慌てた。
きっと、村長の仕業だろう。
理由はまた、後回しだ。
せっかく助けにきてくれたのに、俺がタラタラして、それを無下にはできない。

村長は籠に捕まってなさい、と一言。
不思議に思いながらも、籠に捕まると籠の後ろから大きな衝撃があった。


弱腰G「た、たすけにきましたよ。」


あの弱腰なゴキブリだった。
他にも、顔を見知った奴らが俺の入った籠を全力で押した。


ガシャン!


籠が机から落ちると、籠の戸が開いた。


陽気G「お前がいなくなって、寂しくなると思ったらすぐこれだからなー。安心したぜ。」

弱腰G「す、すいません。あのときは、驚いてなにもできず逃げてしまって、ありがとうございます…。」


俺は驚きを隠せない。
疑問に重なる疑問が俺の頭を一杯にした。


村長「ほっほっほ。再会もいいんじゃがの、急がんと犠牲者がでるからの。」


村長が促す。
不安にかられつつも、歩き出した。

部屋のはじにつくと、ギリギリ体が通るかというくらいのヒビがあった。


蟻「ここから、逃げれば見つからないよ」


ヒビの前に立っていた蟻はどこかで、みかけた顔だった。
しかも、その蟻が続けた言葉になおさら驚く。


蟻「こないだは、すまなかった。カブトムシも捨てたものじゃないと思ったよ。ありがとな。」


ひびの中を進むと、外に出た。
そこは人のいない林の中だった。

なぜか、出口にハエが待ち構えていた。


ハエ「よ、よかったぁ〜。皆、無事で…。」


なんということか。
このハエは先日助けたハエだ。
信じられないことが次々と起こっていた。


ハエ「…ごめんね。何日か悩んだよ、君を助けるべきか。ほんとなら、君の居場所をすぐにでも皆に知らせて、助けるべきだったよ…。」


そして、続けた。


「ありがとう。」


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