瞑る
元G「…腹減った。」
ここ5日、少年は漫画を読んでばかり。
俺はずっと籠の中。
一度だけゼリーのようなものを与えられたが、それ以降籠に触れられることすらもなかった。
逃げるタイミングすらありゃしない。
助けられた者ってのは意外と薄情なものだ。
こちらが、いくら必死にやったとしても向こうは『たまたま』や『気まぐれ』だなんて言葉で、話を濁してしまう。
だからって、なにか返して欲しくて何かを与えたり、助けたりするわけじゃない。
けど、一言、言葉をかけてもらえばこちらは救われる。
それすらないのは、やはり悲しい。
もし、過去にどんないざこざがあろうがなかろうが、その言葉だけは忘れてはならないと思う。
俺はもう、死を覚悟した。
目を瞑る。
[ 13/17 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
[
NovelTOP]