すべきこと



長老G「・・・・・・戻ったか」


俺の姿を見て、老いたゴキブリはあの見え透いた目をして呟いた。
帰ってくるのさえ分かっていたのだろうか。


G「・・・・・・長老」


俺は何を言っていいかも分からず、そうとだけ言った。
長老は良いのだ、とだけ言い言葉を続ける。


長老G「ゴキ神様から・・・・・・じゃな?」


真剣な眼差しで長老は言った。


G「・・・・・・はい」

長老「自分が何をしたか分かったかのう?」

G「はい・・・・・・」


すると、長老はほっほっほと笑いながら、それならば良いと言った。
長老はどこかで、神と面識があるような雰囲気だった。
俺はどうすることもできず、ただ次の言葉を待った。


長老G「そうすると、ゴキ神様から何か言葉を授かったのかのう?」

G「・・・・・・長老の元に行けと、言われました」

長老G「ほう・・・・・・」


そう言うと、老いたゴキブリは少し考える素振りを見せた。
するとまた、笑いながら言う。


長老G「本当に自分の罪を理解したかの?」

G「それは本当です。 もう・・・・・・理解しました」


老いたゴキブリの言葉に対し、誠心誠意を込めて俺は言った。
これが最初で最後のチャンスだ。
・・・・・・しかし、俺はそれ以上に自分の罪を重く感じられた。
そんなことよりも、償いをしないといけない。
そう思い始めていた。


長老G「ほっほっほ。 ならば、ここで一ヶ月生活してみなさい」

G「・・・・・・え?」


老いたゴキブリの言葉は予想外のものだった。
ただここで、一ヶ月間生活をする。
そんな簡単な償いがあるのだろうか。


長老G「安心しなされ。 お前さんは一ヵ月後、変われるじゃろう」


老いたゴキブリはやさしく俺に言った。
それでいいのだろうか、そう思った。

しかし、これでいいのかもしれない。
償いは元の姿に戻ってから、いくらでも出来る。
そう思い、俺はその言葉に頷いた−−・・・・・・。


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