「・・・・・・暑い。」
夏休み。それは世界中の学生が喜ぶ長期休暇。
大敵は、大量の課題と部活動、そして、この茹だる様な暑さ。
俺、財前光は今日もテニスに明け暮れてます。
・・・灼熱の炎天下で!
ゆるっゆるの監督、オサムちゃんからは何の指示も無く。
今日も部長である白石先輩の指示で動いとります。
こんな監督が居てもええんか、心配になりつつ監督の方を向くと。
「あ〜!!オサムちゃん団扇ズルイで!!ワイにも貸してぇや!」
唯一の1年レギュラー、遠山金太郎の言ったとおり、一人団扇仰いどるやん!
しかも、その隣にはよぅ冷えたお茶とスポーツドリンク。(自分用)
監督の仕事しいや!!
監督がおらん神奈川の立海大付属中の方がよっぽど部活がんばっとるんじゃ・・・・・・
はぁ、ココは大阪やから、神奈川の様子なんてこれっぽっちも判らんのやけど。
なんにせよ、こんなグダグダで部活が出来るわけ無い。
この空気を一掃する為に、俺は後ろを向いて、部長の方を向いて、呼びかけた。
「部長〜?監督が一人涼んどるんですけど」
そういうと、いきなり監督が慌てだした。
俺の後ろの方からは部長が千歳先輩と一緒に歩いてきて。
部長の眼に、監督の持っとる団扇が映った。
「オサムちゃん?何一人だけ涼んどるん」
部長、白石蔵ノ介先輩は、監督より実質的立場が上やと再認識させられました。
真っ黒ーい笑顔が見えたで。・・・俺も出来るけど。
数分後、監督はベンチで泡吹いて気絶しとりました。
先輩の黒魔術にやられたみたいっスわ。
アホやっとるからそないなこと、なったんですけどね。
チクったの、俺なんすけど。
そこから監督をあっつい日向(アスファルト上)に放置して、練習再開。
もう少しで休憩や・・・もう一踏ん張りせなな。
俺がココまで頑張ろうって思えるんにはワケがある。
それは彼女、みょうじなまえの存在や。
なまえは俺らテニス部に媚売ることもせんと一人一人を見て励ましてくれた子やった。
だからこそ、惹かれたンかも知れん。
俺はこんな性格やからうまいこと気持ちを伝えられへんくて。
それでも頑張って、1年の3学期からアピールし続け、2年の5月に始めて自分から告白した。
なまえは驚いた見たいやったけど、笑顔で「ええよ」って応えてくれたん。
後で知ったことやけど、あの謙也先輩も狙ってたとか。
謙也先輩がへタレで良かったっスわ。
今日は部活が終わったらなまえの家に遊びに行く事になっとるし、頑張ってはよメニュー終わらせよ。
・・・あ、休憩の合図がでた。
ほな、俺もドリンク飲んでこよか・・・・・・
「光ー!」
あれ、今なまえの声したと思ったんやけど。
クルリと一周見渡すと・・・居った。
テニスコートの外の、大きな樹の木陰から、最愛の彼女が手ぇ振っとる。
「なまえ??」
何でココになまえがおんねん・・・・・・
そんな事も思ったけど、とりあえず俺はコートから出て楽のおる木陰に向かった。
「光、お疲れ!」
開口して一言目がそれか、なまえ。
御陰で疲れも暑さも吹っ飛んだわ。
「なまえ、何しに来たん?」
そう聞けば、なまえは目をしぱしぱ瞬かせて。
「やって、今日部活終わったらウチ来るんやろ?
どうせなら彼氏が頑張っとる姿みたいやん!」
・・・ほんま、何処まで可愛えねん、俺の彼女は。
また虫除けしなあかんやんけ・・・
俺がそんな事を思って額に手を当てて溜息ついとると、なまえが鞄を漁りだした。
「なん、疲れとるん?疲れたときには甘いもんがええねんで!」
ほら、とさし出されたのは蕨餅。
流石やな、俺が和菓子好きってよう知っとるわ・・・
しかも、冷たく食べれる蕨餅・・・なまえ、ナイスやで。
「なまえ、おおきに」
そう言うと、なまえは笑顔で「ええねんよ」って言ってくれた。
それだけで嬉しくなるのは、俺が心底楽に惚れこんどるから。
今はまだ、面と向かって言えへんけど。
愛しとるで、なまえ。
何時までも俺の隣におってな・・・・・・
*END*
〜オマケ〜
「せや、光!
今日は部活が終わってからウチに来る光のために、光の好物の白玉ぜんざい作っといたで!」
「ほんまか、なまえ!!
なら、楽しみも出来たし、楽も居るで、もっと頑張ってくるわ!」
「おん、ここから光の勇姿を見とくわ!頑張ってな!」
「おん、しっかり見とけよ!」
+おしまい+
◆アトガキ◆
前例の無い2ページの短編でした。
まさかこんなに短くなるとは・・・零も驚きました。
芥靜 楽サマには大変ご迷惑をお掛けしました。
遅くなってしまい申し訳ありません・・・しかも財前の口調が怪しい・・・
こんな駄作ですが、相互記念に贈らせて頂きます。
これからも宜しくお願いします!
2009.7.29 烏丸 零
持ち帰りは芥靜 楽サマのみ可能です。