『うわっ何だこれ…くもの巣か?』
屋敷の中に入ったはいいが屋敷の中は綺麗な庭とは反対にくもの巣やらネズミがそこらへんにうじゃうじゃあって人が住んでいる気配はなかった。
「きついな、ここ」
くもの巣が張り巡らされている中を歩いているシエルが咳払いをしながら言った。
「大丈夫ですか?坊ちゃん」
セバスチャンが心配そうに言う。
「大丈夫だ」
眉をしかめながら前に進む。
屋敷は不気味で奥に進むにつれて暗さが増し、時々コウモリの鳴き声が聞こえる。
(…エリザベスは何処にいるんだ?)
長い廊下を歩いていると一枚の写真が床に落ちていた。
『エリザベス…』
写真に写っていたのは笑顔のエリザベスと無表情の俺がいた。
(犯人は何が目的なんだ?)
俺はそれが不思議でたまらなかった。
…身代金が目的か?
「ここからは二手に分かれよう」
効率がよくなる、とシエルが言った。
『それもそうだな』
俺は「頭がいいな」と内心思いながら納得した。
「悪魔の力が必要になる、とすれば無難に僕とセバスチャン、リーズとアルになるが…」
『うん、それでいいと思うぜ』
「じゃあ決定だな」
ということでシエルとセバスチャン、俺とアルに分かれてエリザベスを捜す事にした。
「セバスチャン」
名前達と別れて暫く歩いているが一向に見つからない。
「何ですか?」
「名前はどうして悪魔と契約をしたんだと思う?」
「さぁ、私には分かりませんが…坊ちゃんと似た理由かと」
「そうか…」
急ぎましょう、とセバスチャンが言った。
迷路のような屋敷の中を歩いていると方向感覚がおかしくなる。
「ここの部屋が怪しいな」
ふと、一つの部屋が怪しく感じた。
はっきりいうと"勘"ってやつだな
「…鍵がかかっている、セバスチャン」
「御意」
部屋に入ろうとドアをあけようとするが鍵がかかっていた。
セバスチャンはドアを蹴り、無理やり鍵を壊し、部屋に入った。
「……!!」
「………これは、名前様でしょうか」
そこの部屋にはなにもなかったが部屋の壁には無表情の名前、エリザベスと笑いあっている名前、怒っている名前、という名前の顔写真が飾られていた。