『エリザベスが…』


エリザベスが誘拐された。
誰が、誰がこんな事をしたんだ。



コンコン



その時部屋をノックする音が聞こえた。


「お嬢様?どうされました?」


名前がちゃんと寝ているのか確かめにきた執事の名前は異常な雰囲気を察知した。


『エ、エリザベスが、』
「エリザベス様が?」
『誘拐された』
「……誘拐ですか」


“誘拐”という単語を聞くだけで寒気がする。
エリザベスは何処にいるんだ?そんなことより誰がこんな事をした?


…エリザベスは殺されるのか?


思考がどんどん嫌な、悪い方へといってしまう。
エリザベスが殺されるなんて、いなくなるなんて、そんなの…そんなのッ


「お嬢様…」


執事の名前は俯いている名前の顔を心配そうに見つめる。


『…さない』
「?」
『俺は犯人を許さない』


――エリザベスに手をだしたら殺してやる


こうしちゃいられねぇ


俺は色々と準備をし、部屋から出て行こうとした。
しかし、部屋から出る事は許されなかった。


「お嬢様、何処にいくんですか」


執事の名前が腕を掴んだからだ。


『エリザベスのとこだ…』
「場所を知っているんですか?」
『し、知らねぇ』
「知らないのにどこに行こうとしているんですか」


にっこりと黒さのある笑顔で名前を引き止める。


『どこか適当に・・』
「私もついて行きます」
『え、本気で?』
「執事たるもの主についていくのが当然です」


コイツは一度いったら中々譲らない性格だった。


『じゃぁ行こうぜ』


そういって執事の名前と俺は部屋をでた。




「待て」


屋敷を出て行こうかというときになってまた、名前は呼び止められた。


『シエル、セバスチャン』


そこにいたのはシエルとセバスチャンだった。


「リジーを助けにいくんだろ?何で僕を頼らない」


何で知っているんだ…?

ふと、執事の名前を見ると「私が教えました」と口パクで言っていた。


『シエルに迷惑をかけるわけにはいかない』


俺がそういうとシエルはフッ、と笑った。


「名前は僕の婚約者だろう?何も言わないで出て行くほうが寧ろ迷惑だ」
『シエル…』


そういうわけで俺と執事の名前とシエルとセバスチャンは屋敷をあの人たちに任せて屋敷を出た。



「お嬢様、エリザベス様はご無事なんでしょうか…」
『分からない』


生きていているのか…それとも、もう死んでいるのか


『悪魔と契約、してないといいがな』


…それだけは止めてほしい


「…どういう意味だ」


さっきから何を言っているのか分からないシエルはそう聞いた。


『俺は昔…』
「お嬢様、着きました」


名前が何かを言おうとしたとき、執事の名前が偶然にも遮った。


『エリザベスはっ』
「まだ、分かりません」


エリザベスがいると思われる(執事の名前とセバスチャンが調べた)場所へと着いたようだ。


『ここは…』


そこにあったのはデカイ家だった。

庭には色々な動物の像があり、それを見ただけでかなりの金持ちだという事が分かる。


「どんなやつだろうと構わない、行くぞ」


俺たちはその屋敷へと一歩を踏み出した。









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