※女体化、年齢逆転。


















鍵を回す音が聞こえたので、リヴァイは時計を見上げて玄関に向かった。アナログ時計の短針は十一を少し過ぎていた。水が必要になるかもしれない。
「ただいまぁ」
「遅いグズ」
お帰りくらい言えよぉ、と靴を脱いだ女はリヴァイにもたれ掛かった。息は酷く酒臭く、スーツはやや乱れていた。パンツスーツでなかったら下着が見えそうな程所作も乱暴である。いやそれは元々か、とリヴァイは思い直す。十五とは思えぬ力で容易く女の身体を引きずる。身長があるならば運び方はもうちょっとまともだったやもしれない。
女はエレンといい、リヴァイの叔母にあたる。既に独り立ちしており、リヴァイが進学するにあたり部屋を貸してくれる事になっていた。卒業式を終え、既に春休みである。この休みの間に、リヴァイはすっかりエレンの家に馴染んでいた。
「ぅあー………」
「水飲め。酒くせぇ」
「すいません………」
コップを受け取り水を飲む姿を観察する。ソファに身体が沈みきり、視界はどことなく虚ろ。顔も赤い。完全に飲み会帰りである。酒はあまり得意でなかった気がするのだが、この叔母は。
「あー………ぐらぐらする………」
「どんくらい飲んだんだお前」
「お前は年上に対する敬いが足りなぁい!」
「お前に敬う要素はゼロだ。おい、エレンよ」
せめてさんとかさあ、とぶつくさ言うエレンの頭をひっぱたいた。これは理不尽じゃないとリヴァイは思う。
「ワインと、ハイボールとぉ………あとたぶん焼酎」
「どんな組み合わせだ」
「………ジャンの好みは俺にもよくわかんねぇ………あー、リヴァイ、水もう一杯」
「誰がついでくるか」
まただ、と思う。昔からの一人称が直ってないのはいつもの事だが、このジャンという同僚と、最近エレンはよく飲んで帰ってくる。酒の組み合わせはよく判らないものが多い。共通して言えるのは、アルコール濃度が高いものが多いということだ。
「……………むり、ねむい」
「おい。せめて風呂入れ」
「んー………」
「脱がすぞテメェ」
「いいよぉ別にぃ」
それはどういう意味だおい。マジで脱がすぞ。うとうとし始めたエレンのシャツに手をかけた。いやがっつり脱がそうとかそういう訳でなく、寝苦しそうに見えたからである。二つ目まで外すと、首筋が露わになる。鎖骨程まで伸びた黒髪がかかり、強いコントラストを生んだ。髪を退けると、異質な色彩が現れる。
「……………なあエレン」
「………んー………?」
「お前彼氏いたか?」
「いねぇよ厭味か………」
「いや、」
ならいい。短く呟いてリヴァイはその首筋を撫でた。潤んだ金が細められて、やがて閉じる。
首にぽつりと浮かぶ、赤い跡。起伏はなく、虫刺されには思えない。条件と状況は自ずとリヴァイに解を示す。ふつりふつりと湧く訳の判らない苛立ちに少年は舌打った。この感情が何なのか、リヴァイがそれを自覚するにはまだ幼い。
すっかり寝入ったエレンを見遣るリヴァイの瞳には、苛烈な感情が渦巻いていた。苛立ちや情欲、それに伴う混乱と戸惑い。十五の少年が浮かべるには、あまりに嗜虐的で生々しいそれ。
本格的に寝入るエレンの首の跡に噛み付こうと、リヴァイは乱暴に口を開いた。







アイ××ユー







2012.03.17
いれかわリヴァエレ祭に参加させて頂きました。ありがとうございました!