きみと僕が〜 | ナノ


◎ 彼の理想にはまだ遠い


「ねぇ…何ですぐに来なかったの?」

「あう…んああっ!」

「ヨガってないでちゃんと答えな、よっ!」

ぐちゅぐちゅと音をたてながらの激しい抽出に耐える。
より一層深くを突かれれば、上がる嬌声も自然と大きくなる。

「どうして僕が連絡したのにすぐ来ないの?」

「あァッ…ごめっ、うぁ…ン、ごめ、なっ」

必死で謝るが、先輩は聞いていないのか聞こえないフリをしているのか、腰の動きが止む気配はない。


3時間前、先輩からいつもの呼び出しがあった。
不在着信と未読メールの数がすごくて目にした時は『やってしまった』と冷や汗が流れた。

参考書を見ようと本屋にいたのだが、偶然友達と会い暫くどの参考書が使いやすいとかオススメだとか話しこんでしまった。
携帯の充電が切れて電源が落ちているのに気づいたのは時間を確認しようとした時だった。

真っ暗な画面に慌てて僕は友達に別れを告げた。


駅3つ離れた自宅に帰ればすぐに充電して、電源を入れる。問い合わせれば受信しまくるメール。

とりあえず先輩に連絡をいれる事も思いつかず家を飛び出し、今来たばかりの道を走った。




玄関から出てきた先輩はいつも通りの綺麗な笑顔で招き入れてくれて、いつも通りソファーに並んで座って、いつも通りそこに押し倒された。

いつもと変わらなさすぎて嫌な予感はしていたが、予感的中というか、やっぱり先輩の機嫌はすこぶる最悪だった。

そしてこの現状。

「僕は別に謝ってほしいわけじゃないんだよ。どうして遅くなったの?って聞いてるの」

「アァッ…いうからっ…これとってッ!」

後ろから先輩のモノを挿入され激しく突かれる。それに加え、前は前でクチクチと弄る先輩の手。
双方からの刺激でもうイキたいのに僕の根元は紐でキツく結ばれていてそれは叶わない。

「言ったらちゃんとしてあげるよ。だから先に言いな?」

「あっ…ッ本屋行って…んんっ…携帯…でんちなくてっ気づかなァアッ」

紐が解かれる事はなかったけど、いくらか緩くなった手の上下運動と止まった腰の動きに何とか言葉を紡ぐ。

しかし言い訳がましく言った理由で先輩は納得しなかったらしい。
腰の動きはそのままだが、緩かった前への刺激は背が仰け反るほどの強いものとなる。もちろん紐はそのままの状態で、僕にとってはただ辛いだけだ。

「出かける時はちゃんと携帯の電池確認しなきゃ」

「ぅああッ…ああああ!」

ごめんなさいごめんなさいとうわごとのように繰り返す。いき過ぎた快感に、自分で自分の状態を把握しきれない。


それにしても、携帯の充電を確認しなかったのは本当に失敗した。
せっかく先輩のマンション近くの本屋を選んで行ったのに、携帯の所為で余計時間をロスしてしまった。

「ホントに反省してるの?颯太のココ気持ちよさそうに先走りダラダラ零してるけど」

「ぁあ!してるっ…はんせ、してるッ!」

寧ろ反省しかしていない。
他にあるなら後悔か…

「じゃあいい加減可哀想だから僕をイかせてくれたら颯太もイっていいよ」

「そ、なっ!ちゃんと言ったのに…っ!」

腰を後ろに引かれることで出ていく先輩のモノによって、排泄にも似た感覚が襲ってくる。

「ちゃんとしてあげるよ?颯太のイイところ、僕のコレで擦って気持ちよくしてあげる」

「やぁ、やだぁ…ッんん!」

先輩は前を触っていた手を離し空いた両手で腰を抑えつけながら抜けかけていたモノを再び奥まで挿入する。

「気持ちイイ?僕は気持ちいよ」

「ふ…くるし、あぅ…許して…」

熱の解放を許される事もないまま、恍惚とした声で呟く先輩に腰を振られ、目の前がチカチカと点滅する。

「く…ッ!」

「ぅああああッ!」

「……っ射精しないでイっちゃった?颯太はすごいね」

ナカに感じた熱さと、前立腺を抉るように擦られた快感に、精液が出なくても得られる射精感。
僕はピクピクと内腿を震わせながら意識を手放した。

艶やかな先輩の声と言葉が最後に聞こえてきて、許してほしいと、僕は頭の中でだけ、また謝った。


((ごめんなさい≠オか術はなく))



 
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