きみと僕が〜 | ナノ


◎ 健気な想いと行為


「んぅ…ンンッ」

「もうちょっと舌使って」

先輩の部屋のソファーに座っているその持ち主の足元に跪いて、僕はじゅぷじゅぷと音をたてながら唇を上下に擦る。

「んッ…ぁふ…」

「あーダメだよ、もうちょっと頑張ってよ」

息が苦しくなって口を離せば後頭部を押し返された。
どうやら先輩がイくまで解放されることはなさそうだ。

「颯太前より上手くなったね。そんな舌の使い方、誰に教えてもらったのかな?練習させてもらったりしたの?」

「んっ、ちが…っ」

「ハイハイ。もうイキそうだから吸ってみてよ」

フェラなんて先輩にしかした事ない。
勝手な事を言う先輩の言葉を否定しようとすれば再び口は先輩ので塞がれてしまう。

言われた通りちゅうぅっと尿道口を吸えば溢れてくる苦い味に安堵した。
当たり前のようにゴクリと喉を鳴らして飲みこめば満足したような先輩の声が頭上から聞こえてくる。

「いい子いい子。…それで?誰のをこのお口で銜えたのかな?」

「あぐ…ッうう…ううンッ」

頭を撫でられながら夢心地で先輩を見上げようとすれば、いきなり前髪を鷲掴まれ顔が引き連る。
半開きだった口に先輩の綺麗な人差し指が差し込まれた。
舌を押しつぶされ内頬を擦られる。喉奥を突かれればえずいてしまい気持ち悪い。

違うと否定したいのに意味のない呻き声しか出てこなくて涙が零れてきた。
生理的なものと、やりきれない悔しさから溢れる涙を先輩が背中を丸めて舐めとる。

「ごめんね?苦しかった?」

「ぅえっ…ちがっごほッ…うぅ…せんぱ、ゲホッ…ちがっ」

抜かれた指によって自由に動くようになった口で必死に否定する。

「大丈夫?何が違うの?言い訳、してもいいよ?」

「ぁ…ハッ…先輩…ホントに違くて…自分で…一人で練習して…先輩に気持ち良くなってもらおうと思って…」

息を整えてから怒っている先輩を前にして耳まで熱くしながら正直に話す。
というか練習したとバレるくらい以前までのフェラは下手だったのだろうか…

そんなショックに加え、せっかく練習して先輩に喜んでもらおうと頑張ったのに酷い勘違いをされてしまい悲しくて切なくて仕方なかった。

「一人で練習?指でもしゃぶったの?赤ちゃんみたいに?」

「違いますっ…」

「じゃあどうやって練習したの?」

言えない…恥ずかしい…
引かれやしないだろうか…
軽蔑されたりしないだろうか…

「ほぉらっ!早く教えてよ?どうやったらそんなに上手くなるの?」

「………」

「言えないってこと?やっぱり誰かに手伝ってもらった?」

掴み上げられている前髪を握る手に力が籠もる。
グイグイ真上に引かれてしまえばブチブチと何本が髪の毛が抜ける音がした。

「っ!!…あ…そのっ!ディ、…ディルドを…使って……」

頭皮の痛みよりも先輩に勘違いされる事の方に焦る。
恥なんて捨てて先輩に向かって縋るように言えば、前髪から手が離された。

どうしよう……気持ち悪いって思われた、…?

「ふぅん…オモチャ使って練習したんだぁ?ふーん、そっかぁ…そんなに僕のこと好き?」

「…好き…好き…っ大好きなんです…っ!ごめ、なさ…気持ち悪いって思ってもいいからっ、捨てないで…お願、しますっ…うぅ」

「ふふ、かぁわいいなぁ颯太は…気持ち悪いなんて思わないよ?一生僕のだけ銜えるんだよ?」

きっとボロボロと零れる涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっているであろう顔を気にする暇もなく先輩に懇願した。
いつもと違う先輩の優しい言葉と声音に少しだけ安心する。

「はいっ…一生…っ」

「今度どんな風に練習したのか実際に見せてね?」

「は、い…」

最後の一言に顔が引きつるが、先輩が喜ぶなら僕はなんだってできる気がした。


((貴方がのぞむのなら))



 
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