きみと僕が〜 | ナノ
◎ ご褒美。
「はい、これプレゼント」
「……え?」
先輩の部屋。僕がソファーに座っていると、コーヒーと一緒に紙袋を持ってきた先輩に笑顔付きでそう言われた。
プレゼントなんて嬉しい限りなのだが2つのカップをローテーブルに置き、袋から取り出されたそれに僕は顔を青くした。
「こないだ見せてくれるって約束したよね?」
肌色のモノを模した張り型片手に相変わらず笑顔だが、今の僕には嫌な笑顔の何物でもない。
「えっ、と…今…ですか?」
まだ日は高くこんな昼間から一人でそんな気分になれない、というのも勿論あるが、シンプルにやりたくない。
もう数えきれないくらいセックスもしたし、オナニーをさせられた事もあったが、いつまで経っても自分だけが痴態を曝すというのは堪らなく恥ずかしい。
「そうだよ?」
「ぁ…えっと、」
「どうしたの?エッチな気分になれない?」
ソファーに座る僕の隣に腰を下ろし、ディルドを握らせてくる先輩は甘ったるい声でそう囁いた。
「チューくらいならしてあげてもいいよ?」
「え、…ぁふ…っ」
言うや否や、返事も聞かずに唇を重ねてくる先輩の舌が僕の口内で蠢く。
「んぅ…は」
「…どう?」
「あ、はい…っ」
暫く続いたソレが終わり、そう一言聞いてくる先輩に僕はぼんやりと頷いていた。
どうって何が、とか分からないまま、適当に返した僕に先輩はじゃあ、と続きを促す言葉をかけてきた。
僕はどうやっても逃げられないと確信し、座っていたソファーの足元に座り直して少し大きめのディルドに舌を這わせた。
真隣より、見上げない限り先輩の顔が視界に入らない足元の方がまだマシな気がした。
「んぅ…ん…」
チロチロと舐めていたソレの亀頭を唾液を絡ませながら銜えこむ。
口を窄めながら尿道口を舌でグリグリと抉るように動かし、ゆっくりと頭を上下に動かす。
僕の鼻に抜けた声と、唾液と舌が絡まる水音が暫く静かな部屋に響く中、僕は先輩の視線に晒されながらディルドをしゃぶり続けていた。
「なに勃起してんの。玩具しゃぶってんの見られて興奮した?」
「んぅ…ちが…!」
身体が熱くなっていたのは自覚していたが、それを指摘されるのはやっぱり恥ずかしい。
恥ずかしいから嘘だと丸分かりでも否定する。
「違わないでしょ。玩具なんかで興奮して…練習はおわり」
言いながら舐めていたディルドを抜き取られる。
テラテラと唾液で濡れているそれは糸を引きながら先輩の手元に握られていた。
口内の喪失感に上を見上げると代わりに血管の浮き出た赤黒いモノが差し出される。
「練習の次は本番ね」
手に持っていたそれをゴトンと床に転がし、先輩は笑った。
僕は必死に練習通りに、この間褒められた時のように舐める窄める擦る等の行為で先輩をイかせようとフェラを続けた。
小さな呻き声と同時に口の中で弾け、感じた熱を何とか飲み込めば、頭を撫でられた。
「次は颯太ね?」
妙な達成感に浸りながら汚れた口元を手の甲で拭っていれば不意に腕を引っぱられ、元居たソファーに座らされる。
入れ代わりに今度は先輩が跪く形になって、既に硬度の高まっていた僕のモノを舐め始めた。
「ぁ…そ、んな…別にいいですよ…ん」
「ごほーびだよ。いらないの?」
一瞬口を離し、そう言った先輩は僕の返事も聞かないでフェラを続行した。
何となく切ない気持ちになりながらも、先輩の口の中というだけで僕は面白いほど呆気なく達してしまう。
早漏すぎて僕の舌技を見せられないと、ちょっと膨れて言う先輩に、人の気も知らないで…と僕は「先輩だから、」というちょっと重いセリフ吐いてやろうかと思った。
((無条件に尽くしてあげたり、尽くしてもらったり。そんな関係ではない事を示しているようで))
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