《夕日なんて見たくないおセンチな平古場凛》
オレンジ色の海に、ふくらはぎ半ばちょっと上くらいまで足を浸している小柄なうしろ姿。 そんなことをしたらまだ冷えるだろうに。 砂浜に寝転び頬杖をつきながら、平古場凛はため息を吐いた。
「夕日がキレイ」
背中を見せたまま彼、不二周助は言う。 どんな表情をしているのだろうか。と、思うことはない。どうせいつものにこにこ顔だろう。 少しくらい眩しさに目を細めているのかもしれないが、それはさして重要でない。
平古場は「ん、」と短く返事をしてごろんと寝返りを打ち、目を閉じた。 砂浜に金髪を散らしながら、不二がキレイだと言う夕日がいやでいやで仕方がなかった。 海ごと島ごと染めてしまう夕日は自分も好きだ。けど今はどうでもいい。むしろ見たくない。
わじわじすん………
1日が終わってしまう。じきに彼も、東京へ発つ。
「そういえばね、」
そんな平古場のセンチメンタルをまったく無視して不二は言う。
「僕の友達、あ、別の学校のね。修学旅行が沖縄だったんだけどこの夕日の中で告白されたらしいよ」
「ふぅん」
「でね、振ったってさ。」
別にそう珍しいことねぇらん。と言おうとして口を噤んだ。
ふつう振られないだろ。このシチュエーションで。 告白した方が男か女かはわからないが、もし男だったらかっこうがつかなさすぎる。
それでついクックッと喉を鳴らしてしまった平古場をはじめて振り向いて不二は言ったのだった。
「それなのに今こうやって一緒に夕日見れてる僕たちってものすごくシアワセじゃない?」
「………しに。」
Q.今日あなたは___を手に入れすぎた。 A.シアワセすぎやっしぃ。不二が沖縄に来た。一緒に居る間は楽しいんだけどな。また離れると思うとどうしようもねぇ、イライラする。どうせ夕日しかみてねぇと思ってウダウダしてたらバレてたみたいだな。気ぃ使わせちまった。あんくとぅ、次やわんが東京行くさぁ!
うちなーぐち、ぜんぶ忘れた!(驚愕) |
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