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「……」

「男だし、気持ち悪いよな……ごめん。でも、もし十代が良ければ……これからも友達でいてくれたら嬉しい。そんな資格はないってわかってるけど……」

「いいからちょっと落ち着けってヨハン…!……俺の話を聞いてくれ」

「……うん」


勝手に話を進めるヨハンを止めて、俺は自分の話をすることにした。
うまく、話せるかは分かんないけど。


「この前、俺がいきなり帰ったのはさ……ヨハンとジムが、仲良くしてたからなんだ」

「それって……」

「何か、二人が仲良くしてるの見たら苦しくなっちゃってさ……」

「ヤキモチ、か……?」

「………うん。あと、DVD返しに来たって言った時、トイレじゃなくてヨハンのこと探してた」

「え……」

「……たぶん、ヨハンと同じ一目惚れ」


そうだ、俺もヨハンにきっと惚れていたんだ。初めて会った時から。じゃないと嫌いである図書館なんかに行けるはずがない。

ヨハンはただでさえ大きい目を更に大きくさせて、「……うそ」と呟く。


「嘘じゃないぜ!」

「だ、だってこんな都合のいい展開が……っん!?」


まだ何か喚くヨハンの唇に自分の唇をくっつけた。多少乾燥していたが、柔らかい唇に触れて俺たちは今キスをしているんだと改めて実感した。
そうしたら何だか急に恥ずかしくなって俺は慌てて離れた。


「えっと………信じてくれた、か」

「……う、うん…」


ヨハンは恥ずかしそうに頬を紅く染めながらも、頷いてくれた。


「それと!今回のことは…やっぱり俺が悪い!ごめん!!」

ずっと引っ掛かっていた謝罪の言葉を述べるとヨハンは

「……何だよ、空気読めない奴だなぁ…嬉しさの余韻にも浸らせてくれないってか?」

と不服そうに答えた。

「あっ……ごめん、だけど!本当は俺が真っ先に謝らなくちゃいけなくて……っ!?」

ぐいっと引っ張られ再びヨハンの唇に俺の唇が触れた。触れるだけでは無く口の中にぬるりとヨハンの舌が侵入してきた。驚いて俺は唇を離そうとしたがヨハンに頭を押さえられ叶わなかった。

「お返しだ!両想いならもう何の遠慮もいらないだろ?」

唇を離すとへにゃりと力無くその場に座り込んだ俺にヨハンはにやりと不敵な笑みを浮かべた。




それから一週間経ち話によればヨハンはこの日から業務に戻るらしい。授業を終えた俺は急ぎ足で図書館に向かった。あんなに行くのが嫌だった図書館にこんなドキドキした気持ちでいくことになるなんて思わなかった。

まっすぐにいつものカウンターまで行くが、しかしヨハンの姿は見当たらなかった。

「あれ?ヨハン……いないのか…」

ぼそりとつぶやけば何だか虚しくなった。仕方ないので帰ろうとした時、あることに気づいた。

「そういえば、ここ…この前まで普通に本が置いてあった気が……」

その場所には本ではなく新聞がおかれていた。アレっと思っていると、

「模様替えしたんですよ。」

と背後から声が掛けられた。

「よければ案内しましょうか?」

その問いに俺は振り返り

「こっちこそ案内しようか?」

と笑顔で返した。











〜Fin〜




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