ごじゅうに



有無を言わせないような錫也の笑顔に押し黙る。
彼がこうなってしまった以上、私には選択の余地がないと言うことだ。話さなきゃ、話すまでずっと錫也はこんな感じだろう。

話さなきゃダメかしら。
うーん。
なんか話したら話したでめんどくさくなりそうな気もしないでもない。というか、めんどくさくなりそう(確信)。



「えーっと……」


「そんな可愛い顔で見上げても、ダメだから。」



………どんな顔だ。
錫也、ちょっと眼科行った方がいいんじゃないかな。
…口には出さない(出せない)けども。

これはもう喋るフラグですね!わかります!!
もうこうなったらやけくそだ。



「大したことじゃないんだけど、えと、昨日、なんか颯斗くんに、無視された、っぽくて…んんと、何でだろう、って……」


「……………ふーん。それで、見当がつかないんだね、星河は。」



間が!!間が気になるよ!!
すっごく!!

だがしかし錫也の言っていることはどんぴしゃなので、私は頷いた。


ぽたぽたと傘を打つ雨音が少し弱くなってきて、このまま晴れてくれれば自分の気持ちも晴れるかな。はあ、とまた溜め息。

錫也は柳眉を寄せて、半分は真剣で半分は呆れたような感じでいる。



「本当に、心当たりはないのか?星河。」


「……うん。ない。」


「本当に、本当に?」


「ないよー颯斗くんが気にするようなことは。」


「……。昨日あったことで、星河が思うに青空くんが気にしなさそうなことは何かないか?」


「んー…インタビューとか、会長が役立たずだったりとかはあったけど。他は…」


「他は?」


「会長が、過保護だったってこととか……?」



それだ、と言った錫也の言葉に
(私はクエスチョンマークが隠せなかった。)
(え、錫也。何がわかったの。)


─*─*─*─


ちょっと長くなっちゃいましたね。





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