にじゅうきゅう
何が気に食わなかったのか、分かっていたけれど僕はいまだ考えあぐねていた。と、いうよりも認めたくなかったのだと思う。
心の奥底で思っている事が声にならなかった。
ちらりと後ろを見てみると、彼女は僕の少し後ろをよくわかっていない様子で歩いていた。
彼女に非があるわけではなかったのだから、それはしょうがない。
しかし、生徒会室までの道程の中で脳に反響していたのは―彼女が僕に抱き着いたときは、噂がたたなかった。なのに、土萌くんに抱き着いたとき噂がたったのは何故なのだろうか―という陳腐な嫉妬心だった。
頭ではそんなことは幼稚だと理解しているつもりでも、感情はどうにもそれに拘泥して離れてくれない。
そもそも僕のときは周りが暗く視界も悪い森の中だったし、自由集合だったため時間ギリギリまで粘っていた彼女と向かったこともあり人も疎らであった。
それに対して土萌くんのときは明かりが点いている中、二年生全員がいる目の前でのこと。
分かっている。
分かっているけれど、どこか釈然としない。
もやもやとした黒い何かが腹の内で燻っている、気持ちいいとは言えない感情でどうにかなりそうだった。
気がつくと、目の前には生徒会室のドア。
暫く立ち止まって開けないでいると、心配そうな彼女の声が後ろから聞こえた。
「は、颯斗くん……?」
「はい。」
「開けないの?」
「開けますよ。」
にこりと笑って、冗談めかしくお仕置きは何がいいか考えていたんですと言うと、彼女は青ざめた顔でやっぱり開けないでと言ってからすぐに微笑んだ。
真意はわからない。
僕は……いや、まだ言うには早すぎる。
((颯斗くんやっぱ可愛いなあ!))
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名前変換無ぇwwwwwww
次からちょっと、や、かなり?(日にちを)飛ばし飛ばしいきます!
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