にじゅうなな




周りの目が痛くなってきたので、逃げるようにバスに駆け込んだあの日以来、なんだか学園内で変な噂が流れました。





「星河ー!!お前ってホモなのかぁ?」





生徒会室に入ると、研究室から勢いよく翼くんが飛び出してきたと思ったらいきなりこんなことを言いやがった。

思わず顔が青ざめる。

そう。
これが最近流行りの噂。





「あのね、翼くん?俺はホモじゃないから。」


「そうなのかー?梓がそう言ってたんだけどなぁ…?ぬぬぬ。」





あ、梓ぁあああっ!?
そんなとこまで噂広がってんのかよっ!!

まじかよ。

なんだか、先の事が思いやられるなあ…


はあ、と溜め息をついて自分の席につくとつっこちゃんに苦笑いをもらった。颯斗くんも苦笑い。
会長は大爆笑。


もう、ほんとこの人なんなの?


ジト目で睨んでも更に笑うばかりで、全然止めてくれそうにない。




「俺ホモじゃないのに…ホモ嫌いなのに…」


「あはははは!!俺達はそんなんじゃないって分かってるさ!…ひー、あはは…!!」


「なんか、説得力全然ないんですけど。」


「一樹会長。いくらなんでも笑いすぎですよ?星河くんが可哀想です。」





ああ、颯斗くん
今日も何て優しいんだろうか。

涙が出ちゃう。
だって女の子だもんっ。





「一樹会長なんて嫌いだああ!!」


「な、おいっ!!」


「親父のバカやろーっ!!」





脈絡もなく、いや、あったか?
まあ、取り敢えず叫びながら生徒会室を飛び出して屋上に向かった。

初夏だというのに、まだ薄ら寒い風が首筋を撫で付けてくる。

上を見上げると日が長くなりつつあるのか、星のきらめきが弱かった。

飛び出したのはやり過ぎたかと思ったけれど、最近運動会が一ヶ月後に迫ってるとかで色々と忙しかったからいい息抜きにでもなればいいやとベンチに腰を下ろした。

ああもうほんと最悪。
羊くんに悪いことしちゃったなあ…

もうそろそろ、アメリカに行かなきゃならないのに悪い思い出を作ってしまった。

……あ、そういえば
羊くんつっこちゃんに告白するのかなあ?

このくらいの時期じゃなかったっけ?


寝転がって空を見ようとベンチに寝そべると颯斗くん、いや魔王様の姿がお見えになられた。





「げ……」
(心配してきてみれば、何してるんですか?星河さん。)
(いや、違うよ!?傷心中だから!サボりとかではないよ!?)
(へぇ、そうですか。サボりですか。)


―*―*―*―


久しぶりな更新。

颯斗くんがぐいぐい来すぎな気もしないでもない…




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