じゅうなな
静寂の中、風だけがなっている。
それほど暖かくもない、むしろ少し肌寒くも感じる気温なのに、額を汗が伝う。
「図星………だろ?」
「……」
何も言えなくて、私は押し黙るしかなかった。
「…というか、星詠みで見たんだ。間違いないはずだ。」
これ以上黙るわけにもいかず、口を開こうとすると会長がいつの間にか近寄っていたらしく、頭を撫でられた。
「あ、の……」
「まあ、そんな顔すんなよ。誰にも言わねぇよこんなこと。それにな、俺は月子に女友達ができて非常に嬉しい!お前がどんな風にこの世界に来れたのかとか、そんなのはどうでもよくないんだが…まあ、どうすることもできないだろう?」
「はい…まあ、そうですね。」
「んなわけで、これからもよろしくな!星河って呼んでもいいか?いいよな。よし、そう呼ぶことにする!!」
「はい。ありがとうございます…」
会長の気遣いに涙腺が緩む。
ぽたぽたと地面に跡ができる。
「泣くなって。不安だったんだな…きっと。」
ぎゅっと優しく会長は抱きしめてくれて、更に涙が止まらなくなる。
私、不安だったのかな…?
嬉しいだけだと思ってたのに。
どっかで、帰りたいとか思ってたのかな……
色々な思うところがあって、思考を廻らす。
泣き止むまで会長は抱きしめていてくれた。
(………一樹会長?)
(彼が見ていたことを私はまだ知らない。)
―*―*―*―
見ていたのは彼ですよ!!
わかる人にはわかるはず…
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