鈍感=確信犯??
今日も名前先輩は相も変わらず、変なことばかり言っている。
月子先輩は私のモノだとか、翼が可愛いだとか。
勿論、僕にも色々と言ってくる。
「ねー梓。今日もぱっつんだね!可愛いね!!」
「何なんですか?毎日毎日。」
そう、毎日毎日飽きもせず僕のところに嬉しくないことを言いに来るんだ。この先輩は。
僕を見ても可愛いだの、ばっつんだのチビだの…
僕は全然嬉しくなくて嫌味しか言わないのに、ニコニコしながら同じようなことを何度も言ってくる。
「本当に名前先輩は暇なんですね。友達いないんですか?」
「ううん。暇じゃないよ?友達も一杯いるしー…名前言ってく??」
「いや、別にいいです。」
先輩は嫌味を言われてるってわかっていないのか。
そうだった。この人は超のつくほど鈍感だった。
(宮地先輩とか金久保先輩とかもあからさまに好意を示しているのに、気づかないんだ。)
それを忘れる僕じゃないのに、何で今まで気づかなかったんだろう。
ぼんやりとそんな思考を巡らせていたら、先輩が自分じゃなくて翼のところに行っていたのが、少しムカついた。
「(僕じゃなくてもいいのかな)」
とからしくないことを考えて、自分が嫌になった。
「はあ………これじゃあ、僕が名前先輩を好きみたいじゃないか。」
「呼んだ?」
「うわっ!!な、なんですか先輩。」
「だって、今私の名前呼んだでしょ?」
「え?あ、ああ…いや、なんでもないですよ。」
聞かれた。と、一瞬思ったけど
先輩のことだから聞いてないだろうと、直ぐにそれはクラスの喧騒に掻き消された。
それでも柄にもなく心拍数があがって、顔が熱く火照る。
余裕のない顔を見られたくなくて、顔を背けると先輩はくすくすと笑った。
「梓、やっぱり可愛い!!一番この学校で大好き!」
そう、先輩が言った直ぐに、スピーカーが昼休みの終わりを告げた。
実は先輩は鈍感じゃないんじゃないかと思いながら、僕は熱くなった顔を隠すように机に突っ伏した。
放課後、絶対に名前先輩を捕まえようと心に決めて。
―*―*―*―
照れる梓は可愛い。
しかし、文才がないため可愛さが伝わらぬ(´・ω・`)