眠り王子






月子ちゃんのように有名ではないけれど、私も保健委員である。

クラスのほとんどがやりたがらず、私も半ば強制的(女子がやった方が萌えるんだとか)にやるようになった。

最初こそめんどくさくて嫌だったけど、最近は楽しみになってきていることがある。


からからとドアをゆっくりと開けると、誰もいない。

訳ではない。




「(寝てるのかな……?)」




きっとそうだろうと思い耳を澄ませると、すーすー寝息が聞こえた。


寝息の聞こえる簡易ベットへ忍び足で向かい、閉められているカーテンを音をたてないように引く。

すると、そこには眠り姫よろしく深い眠りについている星月先生がいた。




「(やっぱりね)」




ベットの脇にあるパイプ椅子に腰を掛けた。

眠っていると、男の先生であることを忘れてしまうほど綺麗で、まじまじと見つめてしまう。


そう、これが
私の楽しみ。


寝ている先生を眺めるというだけ。


ちょっと、変態かなあとか思いつつもやめられなくなってしまった。




「(…でも、ちゃんとバレないようにカーテンも元に戻すし、ちょっと見たら保健委員の仕事も、机周りの片付けもするから大丈夫だと思う!!うん、きっと平気!!)」




そう、自分で自分を慰めて立ち上がる。

すると、眠っていたはずの星月先生と目があった。




「え、え…?!!」


「今日はもう俺のこと見ないのか?」


「し、知って!?…って、うあっ?!」




顔が熱く火照って、何も考えられなくて狼狽えていると、星月先生に手をひかれてベットに組み敷かれる。


何が起こったのかよくわからず、依然としてパニックを起こしていると先生が耳元で囁いた。




「見てるだけじゃ、足りないんじゃないか?」


「え…?何がですか?!」




何が言いたいんだろうか。
先生は。


いつの間にか先生が離れて起きあがらせてくれたのだが、先生は私が疑問符を浮かべてからずっと笑っている。


ますますよくわからない。




「はははっ名字はお子様だなあ。可愛い可愛い。」


「な、なんなんですか!?」


「黒かと思ったが白だったみたいでよかった。じゃあ保健委員の仕事、ちゃんとやっておけよー」


「あ、ちょ!まってくださいよ!!」




眠り王子、かまをかける。
(やっぱり、よくわからない!!)


―*―*―*―


補足
先生は名字さんが自分のことを好きになったと思って、かまをかけましたが、名字さんは自分の気持ちがなんなのかよくわからず、先生の言葉がわからなかったという…


うーん
書いてる自分がよくわからなくなってきた…




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