遠い彼






綺麗な桃色の髪に長くて白い指。
才色兼備って男の人でも言えるんだなって彼を見て思った。

それからというもの、目で追うようになって、次第に好きになったんだ。


だけど私は彼をずっと遠くから見つめるだけのしがない生徒。


……そう、ただのクラスメイト。


彼の席は私の右斜め前。
自然と視界に入る。
彼は今日も今日とてキラキラな笑顔で犬飼くんと話してる。




「なー青空、今日お前の誕生日だったよな!!」


「はい、まあ…そうですね。」


「誕生日おめでとう!!」


「ありがとうございます。」




彼は今日誕生日なのか。
なんかプレゼントとかあげたいな…

なんて、考えつつも
全く接点のない私なんかがあげたところで困るだけだろうし、今日中に用意できるはずないと少ない昼休みの終わりを告げる鐘の音を遠くに感じた。


気がつくともう夕暮れで、そのまま寝てしまっていたことに気づいた。


今の時間まで寝ていられたのはこの席のお陰だなあ。

うーん
体、痛い…


あくびをしながら両手をあげてけのびをして、まだ滲む視界をクリアにさせるべく目を開くと桃色の何かが前の席に座っていた。




「居眠りとはいただけませんね。」


「っ!?…あ、青空くん!!?」




彼がなぜいるのか、寝ぼけた脳をフル回転させてもわかるはずはなかった。

でもすぐに、彼越しの机に学級日誌が置いてあるのが見えて合点がいった。

すると途端に申し訳なくなって、ガタリと勢いよく立ち上がる。




「あ…あ、ご、ごめんね!す、すぐ帰るから…」


「ゆっくりで構いませんよ。名字さんの可愛らしい寝顔を見させていただきましたから。」




くすり、と笑う彼の姿に顔が熱くなる。




「う、あ、はい……」




あげた腰を下ろして、彼を見てみると楽しそうに笑っていた。

…――それにしても気まずい。
話したのはこれがはじめてで、話題なんて全然ない。

ただただ、窓の外でカラスが鳴いている声だけが聞こえている。


なにか、話すことはないだろうかと考えているとお昼に犬飼くんが話していた内容が浮かんだ。




「あ!青空くん、今日お誕生日なんだってね…!おめでとう!!」


「あ、ありがとうございます。」

「誕生日プレゼントは私の気持ちってことで!!」




冗談半分で私がそう言うと、彼は口元を手で押さえて俯いてしまった。

何か言ってはいけないことを言ってしまったのだろうか…

なんとかして弁解しようと言葉を選んでいると青空くんが喋り出した。




「………とうですか」


「え…?」


「それは、本当…ですか?」




上げた彼の顔は秋の夕暮れよりも真っ赤で、私も彼のように顔が火照ってきてしまった。




「う、ん…」


「ありがたくいただかせてもらいますね。」




冗談半分で言ったことを受け取ってもらえるなんて思いもよらなかった私は、体が温もりに覆われ、桃色が先程より近づいていることを理解するのにも時間を要した。


僕はずっと名前さんが好きだったんです。


後日聞いたのだけれど、青空くんは私と少しでも誕生日を過ごしたくてあのとき残っていたらしい。

それを聞いた私は再度顔を赤らめるのだった。



―*―*―*―


名前変換が恐ろしく少ないよ、これ!!

内容もぐだぐだだしねw
まあ、何はともあれ颯斗くんはぴば!!
大好きよ!!




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