ばか、でも大好き!!
暑い日差しの元、夏休みも中盤。
補講の日もあと二日となったある日。
私は面倒だけれど天文科の教室に足を向けていた。
なんといっても、今日は直獅先生の誕生日だ。
恋人の誕生日は祝いたいものでしょう?
補講が終わる時間を見計らって、向かったのはいいけれど、天文科の教室はすでに盛り上がっていた。
予想の範囲内ではあったけど、やっぱりちょっとショックだった。
溜め息を吐いてから、気持ちを入れ替えて勢いよく戸をひく。
「なっおしせんせー誕生日おめでとー!!」
「おうっ!!名字か!ありがとなっ!!」
扉を開けたらすぐ目の前に愛しの彼の姿があったので思い切り抱きつくと、顔は見えなかったけど耳が真っ赤だった。
周りががやがやと遅かったなーとかお前いきなり抱きつくなよなーとか色々と言っていたが、適当に流した。
直獅先生から体を離してプレゼントを手渡すと、直獅先生は頬を仄かに紅く染め、はにかんだ。
それから、私の頭を撫でて私にしか聞こえない声で大好きだよと言われ、次は私の顔が火照った。
「何それ…」
「本当のことなんだからしょうがないだろ?」
「…………っ、直獅のバカ!!大好きだコノヤロー!!」
「ちょ、名字!?」
直獅先生の私を呼ぶ声も無視して、騒いでいる皆を横目に教室の外へと走り出す。
可愛いこと言うなよ、直獅のくせに…
恥ずかしいじゃんか。
がむしゃらに走って屋上に抜けると、背後から声がかかった。
「名前!!廊下を走るな!」
「直獅だって走ったくせに…」
「う…それは、」
「それに、学校だよ?名前で呼んじゃダメじゃん」
本当は嬉しかったけど、今はなんか恥ずかしくて振り向けなくて強がってしまった。
なんで追いかけてきちゃったのよ。
仲良く誕生日パーティーしていればいいのにっ!
ふわり。
と背中が暖かくなる。
というか、暑い。
でも、全身に入った力がすっとなくなった。
「今日くらいいいじゃないか。名前、耳真っ赤だぞ?」
「わ、笑わないでよっ!!…こんなことしてるのバレたら、退職になっちゃうよ!!」
「可愛いなぁ、名前は。今日、本当は二人きりで誕生日祝いたかったのにな。」
「それは私の台詞!!…って、もう、暑いよ直獅……っんぅ!?」
後ろでくつくつ笑う直獅先生をとりあえず黙らせたくて振り向くと、振り向き様に口を塞がれた。
「可愛いなー俺の彼女は!」
「な、なななな何っ…!?」
「うるさいから、ちょーっと塞いだだけだよ!そんな可愛い顔するなって。」
ほら、戻るぞ!!
と言って私の手を引っ張って少し足早に歩く彼をとても愛おしく思った。
本当、みつかったら大変なのに…
ばか、でも大好き!!
―*―*―*―
直獅難しいよ…orz
内容はどうであれ、誕生日おめでとう!!
私より身長高いとかいまだに信じらんない……とか、言わないもんね!