なにがどうなって、そうなったのか。






「とうっ!名前さん登場!!」



快活な笑顔で入ってきたのはいつも賑やかな彼女だ。
哉太はそれを見ただけで、笑顔になり羊もにこにことしだす。



「おー!名前!!」


「名前!遅いよ!!」


「二人とも、そんな急かすなよ。ごめんな、名前。」


「ううん!へーき!!」



頭を撫でながら言えば、名前は嬉しそうに目を細めた。

それが気にくわないのか、哉太や羊がむくれているけど俺は気にしない。



「そうそう!!ねぇ、私みんなにやってほしいことがあんの!!!!」


「名前からの頼みごとならなんだってするぜ!」


「ぼ、僕だって!!」


「ほんとに!?じゃあねー……先に羊くんから!!」



こそこそと話し出す羊と名前に顔を覗かせるもやもやとした感情を無視して事の成り行きを見る。
羊は嬉々として話し、哉太はわかりやすい程に不機嫌だ。
俺はそんな彼らに微笑む。



「……うん。いいよ。それくらい、名前のためなら何度だって言えるよ。」


「じゃあ、お願いします!できれば、少し低めの声で!!」


「……んん、…忠義を尽くす君主は、ただ一人しかありえない。……これでいいの?…、って名前!?」


「ななななな!??何やって!!」


「今なら私、ソラウにだってなれる気がする。いや、あんなに美人ではないけど。」



抱きつく名前に顔を赤らめる羊。
名前はなんだか嬉しそうだ。
なんて、やけに今日の俺は客観的だった。



「ぉ、お、俺は!!?名前!俺にもなんか頼み事あんだろ!?」


「あーうん!えっとね!!有名どころがいいかなぁ!!うーんうーん。哉太。耳貸して。」


「ち、近っ……」


「ほら、離れないの!」


「っ……」



顔を真っ赤に染め上げて、それでもどこか嬉しそうな哉太を気にくわない様子で見つめる羊に苦笑を溢す。
いつもこいつらは名前が来るとこうだ。
どうしてなんだろうか、なんていう疑問なんか今更湧いてこない。そりゃあ理由は歴然だから、ね。



「うしっ、行くぞ!………こいつが届く範囲は俺の国だ。」


「随分と狭い国だね。」


「うっせー!」


「もお銀さんマジイケメン!!大好き!!!!」



羊のツッコミも、今は名前に抱きつかれているお陰で哉太は緩みきった笑顔で受け流せている。
かく言う俺も哉太達と同じ気持ちを名前に対して持っているから、いつもなら、俺も少しは余裕が無いのだけれど。

なぜ、こんなにも
俺が平然としているのか。って?
それは―…



「ねぇねぇ!錫也!!私、錫也にも言って欲しいことがあるの!!!!いい!?」


「イエス、マイロード。」


「わっ!!!?え!?エスパー!!?」


「ふふふ。私は、お嬢様のことならなんだって知っておりますから。」


「好きっ!!」



予習です
(ななななな!!!!?)
(錫也なんかずるいいい!!!!)


─*─*─*─

やっとのことで更新。
錫也が別に好きな訳じゃないんだけどね、書きやすくてwww←




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