I lifted the hand confusedly.





颯斗と毎日を過ごすようになって一ヶ月とちょっと経った辺りからだろうか。
颯斗と付き合っているのかと、聞かれることが増えた。

全くそんなことはないのに、弁解することも颯斗に禁止され、益々颯斗が何を考えているのかわからなくなってくる。



「ねぇ、颯斗。君は何がしたいんだい?」


「ふふふふ。何でしょうねぇ?……まあ、直に分かりますよ。」



屋上に続く階段を登り、少し重たい扉を開くと勢いよく風が流れた。
スカートが煽られたけど気にしない。

適当なベンチに腰を下ろして、購買の袋を漁った。
お菓子の箱の海を掻い潜って数少ない昼飯を一つ引っ張り出して見たら、隆文が以前好きだと言っていた高菜とじゃこのおにぎりで。
なんていうか、買った覚えないんだけど。
無意識の内に買っちゃってたんだなあ、って溜め息を溢すと、今日も今日とて手作り弁当を食べている颯斗に笑われた。



「…なんだよー」


「、いえ。何でもないですよ。」


「颯斗の嘘つき。何でもないっていう顔じゃない。」



むくれても笑って濁されるだけで。
少しムカついた私が、颯斗の頬を思わず引っ張ってしまったのは不可抗力だと思いたい。

いや、正当防衛?
うーん。なんだっていいや。

とにもかくにも、私は考えるのが苦手だから颯斗が何をしたいのか全くわからない。
それがもどかしくて、もどかしくて。
隆文に会いたいなあ、話したいなあなんて思考に行き着いてちょっと恥ずかしくなった。

私らしくないというか、なんていうか。
今までの私なら絶対に思わなかった感情だったから、こそばゆかったんだ。



「……名前さん。何か気づかれましたか?」


「…、はい?…気づく?」


「……まだですか?バカですか?何でこんなに鈍感なんでしょうね。」


「ば、バカって!……いや、確かにバカだけど!!あー!!もうっ!!」



「いひゃいですよ名前さん…」



颯斗から手を離して、思案するように俯いていればバカだ鈍感だ等と言われた。
またつねってやる。

苛立たしいのに、何にイライラしているのかわからなくてさらにイライラする。半ば八つ当たりだ。



「イライラするー!もう教えてよ颯斗!!良いじゃん教えてくれたってさ!!」


「ダメです。貴女がちゃんと分からなければならないんです。」


「むー。」


「……でもそうですね。もういい頃合いかもしれません。」


「え!まじ!!教えてく…」


「おーおーいつの間にそんなに仲良くなったんだよ。」


「…は?え?……隆文?」



やっと教えてくれるのかと思えば、後ろから聞き慣れた声がして。
振り向けば、最近はもっぱら話さなくなった緑頭があった。





(これじゃあ私が君を…って思う他ないじゃん。)



─*─*─*─


あれ、おかしいな。
これ犬飼夢だよね←



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