Days which move along parallel lines.
最近なんだかもやもやするんだ。
隆文があまり話し掛けてこなくなったから?隆文が頭を撫でてくれなくなったから?
隆文関連だってことははっきりとしているのに、核心がぼやけて顔を出してくれていないから、私にはよくわからなかった。
今までこんなことはなかったし、一過性の出来事に違いない。一週間もすれば無くなるだろう。と、決めつけていた私は、予測していた時期を疾うに過ぎ去ってもなおむず痒いもやもやに、未だ悩まされて続けていた。
「颯斗ー…」
「何ですか名前さん。プリントは見せませんよ。」
「違うよ。え、ってか宿題あったっけ?」
「ええ。今日提出の物が二枚ほど。」
短く答える颯斗に、冷たいよ颯斗。と言うと、授業開始五分前なのに誰かさんの所為で授業の準備が遅れていれば自然と冷たくもなります。と呆れ顔で返されてしまった。でも、何だかんだ言って話を聞いてくれるのだ。
うん。颯斗優しい。
「…はあ。で、何ですか。」
私の後ろの席である颯斗の方に改めて向き直り、彼に事の次第を話すと彼は綺麗な顔を至極面倒臭そうに歪め、盛大に溜め息を吐いた。
次いで、眉間に手を宛てる。
どうやら彼は私のわからない何かに気づいたようだった。
「さすが颯斗。私のもやもやわかるんだね?」
「わかるも何も……やっと、というところですかね。」
「どういうこと?」
「つまるところ二人揃って鈍感、ということですよ。」
颯斗の言っていること、さっぱりわからない。
「私、鈍くないよ!鋭いよ!」
「いえ、鈍いですよ。」
「むー…」
「ああ、面倒ですね…こういった役回りは嫌なんですが、双方向から相談される方がより面倒です。……この際なので、名前さんのもやもやが何かわからせてあげましょう。」
「会ったときとキャラが違くないか、颯斗。」
「何でもいいです。取り敢えず手始めに犬飼くんとは接触を避けてください。それと、僕とここ数日は一緒に過ごすこと。いいですか。」
「えー…隆文と全然会えなくてもやもやしてるのにー?」
「 い い で す か 。」
「………あい。」
このブラックスマイル颯斗には何を言っても意味のないことを、ここ一年とおよそ半年で分かっていた私は言うことを聞かざるを得なかった。
でも、これで何が分かるの?
そんな疑問はまだまだ暑い日の下にジウジウ鳴り響く蝉時雨に掻き消された。
そんな初秋。(今思うとこの時、もう既に感ずいていたのかも)─*─*─*─
この中で颯斗くんはすごく苦労人(+腹がまっくろくろすけ)。