A next-door neighbor is the most natural.
私達は悪友で通ってる。
宿題忘れたときに颯斗に頭を下げるのも。ご飯を食べるのも。隣街の天文台に行くのも一緒。
なんだって一緒に行動するような仲。
私と隆文は世で言う親友、というやつだ。
「隆文ぃー…喉乾いたー。」
「、んだぁ?さっき新発売の……あー…オレンジなんだっけか。」
「オレンジエール。」
「そうそう。それだよ。飲んだばっかじゃねーか。」
「でも、喉乾いたの!干涸びるー…」
机に突っ伏す私の頭上で発せられた呆れたような隆文の言葉に、茹だった上体を持ち上げるのが億劫な私は目だけ彼に向けた。
表情まで呆れてやがる。こいつ。
今日は夏日も夏日。
盆地に近いけれど、この学園の場所は木々に囲まれているだけましか。とは思うが暑いことには変わりなかった。
なんだって期末テストなんてあるんだろうか。
なかったら、隆文とこうやってテスト勉強する必要もないのにさ。
何も言わずに隆文に視線を合わせていると、訴えかけていることが判ったのか彼は溜め息を一つ落とし向い合わせの机の向こう側で椅子を鳴らした。
「…はあ、わあったよ。ちょっくら買ってきてやる。」
「やったね!隆文の奢りだー!!」
「誰も奢りだなんて言ってねぇ。後で払ってもらうからな。…何がいい?」
とか言っておいて、奢ってくれるくせに。
「んー…クランベリーソーダ。」
「あいよ。ってか、炭酸ばっか飲んでっとこう、横に育つぞー」
隆文は両手をウエスト辺りに持ってきておもちを伸ばすようなジェスチャーをすると、彼特有の笑い方をした。
「ふん、いいもん。別に。」
「拗ねんな拗ねんな。」
女の子にそれはなくない?
なんかムカついた。
すると、目線を全然埋まらない課題プリントに向けむくれている私の頭に二、三回軽く撫でられた感触。
直ぐに顔を上げたのに彼はもう背を向けていて手を振っていた。
顔に熱が集まったのは気のせいだってことにする。
隆文に胸がときめいたなんてばかみたい。
近くて遠い君の存在。
(知らない振りなんかできるわけないのにね。)─*─*─*─
犬飼お題夢連載はじまりはじまり。