寄せ書きと花束をもらっても
好きだと自覚してからは時間が嘘のように短かく感じた。
気づけばここに来てから三ヶ月。
目の前には涙する生徒達。
柄にもなく感傷的になって、生徒がいなくなってからも教室に居た。
暮れ泥む空に目を向けて、そういえば今日は名前に会ってないなとか、もう恋愛ゲームも終わりなんだとか思いながら何をするでもなく教卓に寄り掛かるように立っていると、見覚えのある小さな姿が後ろの扉から入ってきたのが目の端に映る。
ずいぶんと僕は女々しくなったものだ。
顔を少し横に動かすだけなのに億劫で。
これから告げなければならない事実に目を背けたくなった。
「郁。今までお疲れさま。はい、これ。」
「……ん。ありがとう。」
「寄せ書きとかは天文科のみんなから貰っただろうから、私からは花束とお手紙ね。」
彼女の瞳を見ても、潤みこそすれ泣き出しそうな感じではない。
手渡された控えめな色合いの花束を片手に持ち、手紙を開けようかと手をかけると静止の声がかかる。
「ちょ、ま…わ、私がいないところで開けて!!……恥ずかしい、し。な?!ほら、開けんな!!ってうわあああ!!」
「素が出てるよ、名前。」
彼女の言うことを無視して、彼女らしくない便箋に目を通す。
書いてあるのは最初から最後までなんてことないお礼の言葉ばかり。
私とまだ付き合っていて、と書かれていたらどんなによかっただろうか。
でもそんなことは、片鱗さえ見えない。
だから、
「ねえ……僕、結構君に酷いことしたと思うんだけど。こんなお礼の言葉ばっか…どういうつもり?」
言わないくていいことを喋ってしまうんだ。
名前は困った表情をしてから、俯きがちに喋り始めた。
「……まあ、最初の頃はね。でも、私、恋なんて知らなかったし。遊びでも恋人っていうのを経験させてくれた郁には感謝したかったの。」
僕がさっきまで見ていた方に目を向けながら言う彼女がなんだか遠く感じて、手を伸ばす。
でもその手は空を切って、彼女の手を掴むことはなかった。
「じゃあ、またね…なんてあるのかわからないけど、とりあえず今までありがとう。郁が初めての彼氏でよかったよ。」
「……まっ、」
「もし、郁が私の本当の気持ちを分かっててくれたならよかったんだけど。」
「え?」
ひらひらと手をふり教室を後にした名前の真意が掴めなくて、何となしにもう一度封筒の中を探ってみると便箋とは違ったハート型の紙が入っていることに気づいた。
書かれているのは滑らかな英語で。
…これがもし彼女の本当の気持ちだとしたら、
そうして、はっとなって、彼女が出ていった所から僕は走り出した。
Finally a game is.
But I don't want to make a relation finished.
What should I do?バカだな名前は。
そんなの、僕と付き合う以外にないじゃないか。
小さな背中が視界に入って。
僕は涙の匂いと一緒に彼女を抱き締めた。
─*─*─*─
英訳:ゲームは終わり。でも、関係は終わらせたくない。私はどうしたらいい?
まあ、文法なんてクソくらえなんで((←え
多目に見ていただけたらありがたいです。
郁ちゃん お題夢おわた!!
ふー…
意味不ですね!!www
なんか長くなっちゃってすみませんでしたm(._.)m