かぜっぴき
風邪をひいてしまった。
羊と一緒に居られるのもあと三日しかないって言うのに。
せっかく、思いが通じあったのにこんなのってない…
布団に包まるが寒さは補えず、視界も眩む。
調子は確かに悪かったけど、熱なんて昨日は無かった。なのに、今日測ってみたら八度五分とかほんとふざけんな。
結局今日は休む他なかった。天文科の皆にうつすわけにはいかないし。
喉がくすぐったくなって咳がでて、喉が痛くて泣きそうになる。食欲もない。私、死ぬのかな。
「名前っ!!」
あれ、幻聴?
羊の声が聞こえる。
その後にばたんとドアが勢いよく開く音と、視界に入り込んだのはぼやけた赤い何か。
ほんとに羊なの?
「…よ、う?」
「うん。僕だよ、名前。」
「かぜ、うつっちゃ…」
「いいよ。構わない。」
抱きすくめられ、羊の心臓が近くに聞こえる。
彼を見上げ、やっと焦点があったかと思うと心配そうな顔が見えた。
「休むなら休むって、僕に言ってよ。心配するだろ…」
「…うん。ごめ、」
「錫也がお粥作ってくれたから、持ってきたんだ。食べて。」
「しょくよくない。」
「………食べなきゃダメだよ。」
「んー…」
「キッチン借りるよ。」
立ち上がった羊の制服のベルトを緩く掴む。
すると、困ったお姫様だ、と言いもう一度抱きしめてくれた。
ああ、温かい。
「大丈夫。今日はここにずっといるから。ちょっとだけ待ってて。」
「…うん。」
「いつもこれくらい素直だったらいいのにな。」
依然として離れない私に羊は苦笑して言った。
熱に浮かされて、いつもの羞恥心がどっかいっちゃったみたいだ。
私はそのあと、錫也が作ったお粥を食べて寝てしまったようだったけれど、羊がずっとついていてくれたのだそうだ。
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今の願望ですかねwww