いつものことですが、






放課後。
一樹会長と翼くんが珍しいくらいにおとなしく仕事をしていると思ったらぱたぱたと廊下から音が聞こえてきた。


ああ。
こういう日に限ってうるさくなる要因が来るものだから、困るんです。
僕が一人の時に来ればいいものを…

がらりと音をたてて入ってきた彼女は弾けるような笑顔で。




「さあさあやってきたよー!名前ちゃんタイムが!!」


「名前なのだー!!来てくれたのかあ?」


「おう!名前!!」


「こんにちは。」




一樹会長も翼くんも締まりのない顔になってしまい、仕事どころではない様子。

…それが嫌だったのですが、それ以上に名前さんをこの方々にあまり会わせたくありませんでした。

この二人は彼女にベタ惚れというやつですから。




「今日はねお願いがあってきたのですよ!!」


「名前の言うことなら何だって聞いてやるぞ。」


「さすがパパ!!」


「俺も!俺もそうなのだ!!」


「うん。ありがとう翼くん!!」




終始ニコニコとしていらっしゃる名前さんですが、手の動きがなんだか別の生き物のように動いているのが気になります。

彼女の話によるとやってほしいことがあるそう。


耳打ちする距離に一樹会長は顔を赤くしていた。


うらやましい、なんて思いません。
僕には彼らがしていないぶん仕事をしなければならないのですから。

しかしこういうとき、自分の性格が恨めしいものです。




「な!?……いや、お前にそんな趣味があったとは…」


「趣味じゃないよ!!いや、趣味だけど…もう、とにかく言って言って!!」


「……口調は俺のままでもいいか?」


「んー……許容範囲かな。いいよ!!ちゃんと跪いてね。」


「ん。あーっと、こうか……」




顔を引き締め、跪いて一樹会長はとんでもないことを口にした。




「俺は名前の犬になりたい。」


「もう。御狐神くんだいすきぃいいいい!!」


「おっと…」




一樹会長は名前さんに抱きつかれ背に手を回している。

翼くんはそれが嫌なようで、膨れっ面で次は俺!!と彼女を会長から引き離していた。

僕も実のところ心中穏やかではなかったので、翼くんに少し感謝です。


それにしても、名前さんは会長になんてことを言わせるのでしょう…
驚きましたよ。かなり。




「……遊んでないで、仕事をしてください。」


「俺は何を言えばいいのだ!?」


「はあ。」


「翼くんは"いらっしゃいませー!!"って私に飛び込んできてくれたらおk!!」


「ぬ?わかったのだ!!!いらっしゃいませーっ!!」


「ザックスだ!!すごいすごいっ!でも痛いよ、翼くん!!」




我慢の限界だとかそういうのではありません。
ただ名前さんが本当に苦しそうでしたので、翼くんを離してあげただけです。


軽く咳き込む彼女はありがとうと言ってから僕にも言ってほしいことがあると笑顔で話した。




「あー…でもなあ……あんまり有名なのがなあ……」


「?」


「うん。颯斗くんには俺って言ってほしいな!!」


「俺、ですか?」


「敬語も無しな方向で!」


「それは今じゃないとダメなんですか?」


「んー…いや、別に今度とかでも…」




もし今ではない時でいいのなら少し考えがある。と思い、聞いてみると少し思案するような様子で名前さんは承諾してくれた。




「じゃあ、明日。名前と俺だけの時にでも。」


「…〜っ!!?なんかそれ卑怯だよ颯斗くん!!」




名前さんの耳元で囁くと彼女は顔を真っ赤に染め上げて盛大に照れてくれた。

(…颯斗に抜け駆けされたような気がしたんだが。気のせいか?)
(俺もそう思ったのだー)


─*─*─*─


中の人ネタぱーとすりー!!
平川さんってあんまり有名どころがないことに気づき、焦って俺口調にしてしまいましたw

わかる人にはわかっていただけるだろう!!

たぶん




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