この腕で抱きしめて、確かめたかった





title:確かに恋だった様より



冬になり、日が短くなったのともともと山間であるため生徒会室はぐっと冷え込んでいた。


ああ、なんでこういう日に限って残業なの。

その理由は私の彼氏である翼くんの発明(爆発)だから、しょうがないことなのだけれど。


あたりはもう真っ暗で、原因である翼くんは疲れているのかソファで寝てしまっていた。
少しの怒りはあるこそすれ、愛おしい彼であることに変わりない。

てきぱきと掃除を済ませ、翼くんに帰ろうと体を揺さぶると身を捩るばかりで起きる気配がなかった。




「翼くん。起きて、翼くん。」


「ぬー………ぅん、…」




もう少しだけでも寝かせておいてあげようかな。

そう思い紅茶でも淹れて待とうかと離れようとすると、いきなり体を強い力で引っ張られた。




「うわっ…!」


「…名前……どこにいくのだ…?」


「翼くん、起きてたの?」




まだ、寝ぼけているのか私の質問に対する受け答えもそこそこに唸っているばかりでどうも手放してくれそうにない。


この体勢キツいんだけどなあ…




「…翼くん、離して?隣にいるから。」


「どこにもいかないで、名前……」




より一層強くなる腕の力に怒ることもできず、無理な体勢でもきつく感じなくなるほど彼を好きなんだなあと再確認。

これじゃあ、生徒会の皆からバカップルだなんのって言われるのもわからなくもないな、なんて思った。



─*─*─*─


べたべたしたいお年頃。




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