涙の理由
「なっちゃあああああんっ!!」
可愛らしい、鈴のような声に気づき振り向くと廊下を駆けてくる小柄な女の子が目に入る。
僕のお姫様だ。
でも、彼女は何故か大きな瞳に涙を滲ませていた。
息を切らしながら僕にしがみつくと、僕のお腹辺りに顔を埋めてしまった。
「どうしたんですか?名前ちゃん?」
「なっちゃんやらよぉ…」
「何が嫌なんですか?」
「北海、道は離婚率、が日、本全国で三、番目に多い、って…ト、キヤ君が、ひっく、言うんだも…」
「そう、だったんですか…」
嗚咽しながらも、僕に伝えてくれる姿はとても可愛らしい。
けれど、なぜそれが嫌なのか僕にはわからなかった。
第一、僕達はまだ結婚していませんし…
もしかしたら名前ちゃんは別れるとかそういうのと勘違いしているのでしょうか?僕が北海道民だから?
内緒で付き合っているため、ここで話すのはまずいと彼女の手をしっかりとひいて、僕の部屋に向かうと、翔ちゃんは今日はレッスンみたいで、部屋にはいなかった。
彼女は尚も不安げな表情で僕を見つめてくる。
「名前ちゃん。もしかして、僕達が別れる確率が高いとか、思ったんですか?」
「!!……うん…だって、離婚ってお別れしちゃうことでしょ…?」
「そうだけどね、名前ちゃん。僕が北海道民でもそうじゃなくても、名前ちゃんと別れることは絶対ないから安心して?」
「…ほんと?」
彼女の小さな体を抱きしめると、震えていた。
不謹慎だとは思うけれど、そんな姿を見てとても心が暖かくなった。
僕のことを彼女がこんなにも愛してくれているんだということがわかったから。
少し体を放してから、彼女の薄桃色の頬を濡らす涙を拭う。
「はい!僕、名前ちゃんが大好きですから!!」
「ほんと!?私もなっちゃんのことだあいすき!!」
ああ、愛しい。
こんな可愛らしい子を手放すわけないのに。
と、彼女を再度抱きしめた。
―*―*―*―
突発的に書いてしまった…
さっきテレビで離婚率がどーのこーの北海道が第三位だの言っていたので、ついw
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