そこへ行くことができたら







「僕、自分に正直になってみます。」




そう言われて、きしきしぎりぎりと締め付けられる心が愛を欲した。
どんなに、彼を求めたところで手に入らないというのに。


"相談"という言葉に託けて、痛みの時間だけでも共有したいと甘えていた罰が当たったのだろう。

そうか。
彼は………




「うん。四ノ宮くんがそうしたいならそうするのが最善の方法だよ。きっと。」




嘘つき。
そんなこと思ってないでしょ?私。




「頑張りますね!名字さんにはいつかお礼をしなければなりませんね。」


「いいよ、いいよ。何にも要らないよ。」




貴方さえいれば。


口は心と喧嘩しているみたいだ。
思ってもいないことばかりべらべらと。
動きに動いて、何も言い出せない心は舌打ちばかりしている。


明日、○○するんだって。
私はどうしたいのだろう。


私が○○すればいいの?

バカみたい。

彼の純粋な気持ちを踏み躙ればいいの?

そんなことできるはずない。


臆病で自分しか考えていない自己中な私を誰か殺して。


○○する勇気なんてあるはずないの。
勝ち目がないことはわかりきっているから。

だってこの間、小さな金髪の子と彼女が話しているところを偶然聞いてしまったんだもの。



彼女が彼を好いていると。



もしかしたら、あれは
偶然じゃなくて必然だったのかもしれない。


相思相愛なんて、馬鹿げてる。
私の無意味な努力は何処へ捨てればいいの。



その次の日の朝。
"にこにこ"な四ノ宮くんと七海さんがカレとカノジョになっていた。


決めたことは直ぐに実行するんだね、四ノ宮くんって。


そう冗談混じりに笑いかけると、私のお陰だと言われた。

こんな
黒いどろどろが渦巻いている私に。



―*―*―*―


○○はあれですよ。
君のことが好きです的な、やつ。




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