交わらないふたつの世界
遠くで揺れるミルクティブラウン。
彼の端整な顔立ちは曇った私の眼鏡越しにでもわかるくらい、きれい。
私は入学当初からそんな彼に釘付けである。
嫌だな。
関わることは無いと分かっていても、期待してしまう自分が。
同じクラスであることは、私にとってどこかで関わりが持てるんじゃないかっていう、卑しい気持ちのもと。
嬉しいけれど、嫌だな。
彼はきらきら。
私のいつもと変わらないお弁当もきらきらにみえる。
今日のお昼も幸せだ。
………あ。七海さん。
今日も可愛らしい彼女は、花のようなやわらかい微笑みを浮かべ彼とおしゃべりをし始めた。
いいな。
いいな。
私もしゃべりたい。
嫌だな。
嫌だな。
嫉妬なんておこがましいよ。
私は遠目から見つめていられるだけで十分なの。
今日もお弁当美味しかった。
さて、次の教科の準備しなき
「あ、名字さん。落としましたよ。」
落とした私のペンケースを拾ってくれた彼の手は大きかった。
見上げると彼もまた、やわらかい微笑みを浮かべていて。
「あ、りがとうございます。」
初めてしゃべったかもしれない。
心がブランケットに包まれたかのような優しい暖かさがこそばゆかった。
―*―*―*―
一文を短めに。いきたいです。
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