冷たい貴方に温かい温度を
「お前は…温かいな。」
わたしを抱きしめながら、ウルキオラさんが急に呟いた。
「それは…」
わたしは、あとの言葉を紡ぐ事ができずに、止まってしまった。
『わたしは……生きているから。』
そう口にすることは、ウルキオラさんは死んでいると肯定することになってしまう…。
答えようとして、止まってしまったわたしを不思議に思ったのか、ウルキオラさんがわたしの顔を覗きこんできた。
「…どうした。」
「……え…?き…気にしないで!大丈夫だよ!!」
わたしの態度が気になったのか、ウルキオラさんの視線は相変わらずわたしの顔を見つめたままだ。
「…お前の態度はわかりやすい。生きた人間は…お前でなくとも皆、温かいと言うのだろう。」
わたしの思っていた事をはっきりと言われて、わたしはびっくりしながらウルキオラさんを見つめ返した。
「俺には体温など存在しないからな。お前からすれば冷たいとも感じるのか?」
「…う…うん。」
戸惑ったけど、わたしは答えた。
「…そうか。だが、俺に体温が存在しないことで、お前の温かさをはっきりと感じることができる。だから…お前はそんな顔をするな。」
わたしを抱きしめながら、わたしの頬にゆっくりと触れたウルキオラさんの手は、やはり冷たくて…
でも、いつもわたしを安心させてくれる優しい手。
わたしが生きている『人間』でも
彼が一度死んでしまっている『虚』でも
体温があっても
体温がなくても
関係なんてない。
わたしの温かい体温を
彼の冷たい肌に
抱きしめる合うことで、貴方にわたしの熱が伝わるなら…
―――――このままわたしの熱を彼にあげられたらいいのに…―――――――