無題
わたしは、彼のことをその白く冷たそうな真っ白な肌と同じ、冷たいヒトなんだと思っていた…。
彼の瞳は、真っ直ぐ前を見据えていて…でも、感情の読み取れない硝子玉のような瞳。
声は鋭く、けして反論を許さないような命令の言葉。
そんな風に彼に初めて会ったとき、此処に来て話しをしてわたしは感じていた。
…だけど、藍染様に戻され久しぶりに顔を合わせた彼からは、感じたモノは、何故だか今までのとは違っていた。
わたしのたった一人で死んでいくのは、『こわくないよ』と言う言葉に眼を開かせて驚いていて…
あんなに彼の驚いたような瞳を初めてみた。
わたしの言った『心』に興味を持ち…
純粋に『心』の存在を知りたいような疑問の声と瞳でわたしを見つめて…
彼にとって…『心』があると思う場所へわたしに向けて手を伸ばした。
心は…
わたしの胸を引き裂いても
頭蓋を砕いても
その眼には…瞳は映らなくて…
触れる形をしたモノではなくて…
…それなのに、『心』を求めようとわたしに手を伸ばす彼の姿は、とても儚く淋しそうには見えた。
彼に『心』を教えてあげたい。
わたしは、彼の姿を見て思った。