モノクロの世界に映える色
「うわ〜…。ほんとに見渡すかぎり砂ばっかりですね。」
「だから言っただろう。」
女が、外に行きたいと言い出し、俺は藍染様から許可をとり、女を外へ連れ出した。
前々から女は、外がどうなっているのか気にしてはいた。
その度に俺は、「砂しかない」と言っていたのだが…。
「自分の目で見たいです!」と女が言ったので、俺は藍染様に女を外に連れていく許可を聞くと、あっさりと許可は下りた。
「なんだか、砂漠みたいですね。」
「砂漠…だと?」
「わたしも実際行ったことは無いですけど、此処と似ています。
景色や、温度は…全然違いますけど…」
不意に女は、その場に座り砂を掬う。
女が掬った砂は、手の力を弱めるとサラサラと落ちる。
俺は、そんな女の行動を後ろから眺めていた。
「…白と黒の色がしかなくて、寂しい…場所ですね。」
女の髪が、僅かに吹いた風により広がる。
「此の場所に色など…」
必要等ない…
そう言おうとしたが…
俺に後ろを向けている女の髪が風に吹かれ、揺れているのを見ていると…
「……この場所では、お前の髪の色が映えるな。」
「?!」
俺の言葉に驚いたのか、女は座ったまま後ろにいる俺に振り返った。
その瞬間に女の髪がふわりと広がる。
「え…えっと…。」
返答に困っているのか、女は視線を俺に向けながら戸惑うような顔をしている。
「此の場所には、白と黒しかなく、それ以外の色など必要等ないと俺は思ったが…
お前の髪の色は明るく、綺麗で俺は好きだ。」
俺を見上げる女の顔は何故か、赤く染まっていた。
(不意打ちなその言葉)