手に入らないと思うと渇きがひどくなった
女は此処…虚夜宮に連れてきてから、いつも部屋に一つしがない鉄格子の先にある月を眺めている。
女の世話役を藍染様から任されている俺が部屋に入り、声を掛けると、いつも同じ場所に立ち後ろ姿の女…。
いつもあの月を見ながら、仲間である奴等を思っているのだろう。
俺に気づき振り向き、俺の問いかけに反応はするが、女の瞳には明らかに俺の存在などは映っていないようだ。
女の中には『仲間』である奴等しか無いようだ。
服を身につけ同胞となった女だが、相変わらず月を眺めている。
お前は、俺の目の前にいる
触れることなど簡単だ。
…だが、こんなにも近くにいても、お前の瞳を俺に向かせることが出来ない。
お前の瞳は…
お前の想いは…
お前が此処にいるのは…
全て奴等の為……
そこまで、女に想われる奴等に俺は、苛立ちがした。
(どうしたらお前のにいる奴等の存在を消せる)
thanks:確かに恋だった