きみがくれた存在証明


(なん…だ…?)




(俺は消えたはずだ…)



(なのに…何故温かさを感じる…?)










―――――――――――――――――




「……何故…助けた」


目を覚ました彼は、わたしを見上げ見つめながら呟くように言った。



何故…?

上半身が消えてしまっていく貴方に駆け寄り、急いで双天帰盾を使っていた。




横になっている彼を見つめながらも、わたしは彼の問いに答えられずにいた。







そんな彼の問いに答えないわたしを、彼は見つめながら再び口を開いた。



「…俺は、お前の敵だ…」





彼の目線がわたしから外れ、灰色の空を見つめている。





「俺が、お前を此処に連れてきた」


「はい」


「お前の仲間を人質にし、お前に断る事などできない命令下した」


「…はい」


「お前の大切である仲間を…傷つけた…」


「……はい」



「お前達に負けた俺に、最早俺に存在する意味などない…」


「……。」


空を見ていた彼の翡翠の瞳が、再びゆっくりとわたしを見つめる。


「もう一度問う…何故助けた。」








わたしが彼を助ける理由がわからない彼は、どうしてもわたしが彼を助けるのか知りたいようで…。

わたしはゆっくりと口を開いた。








「…貴方に…ウルキオラさんに…消えて…ほしくなくて…生きて…ほしくて…

貴方に心を知ってほしくて…


なのに…存在する意味がないなんて、言わないでくださいッ!!」








彼の瞳が僅かに見開き驚いているように見えるけど…
でも、わたしの瞳からは涙が溢れて流れてきて…
それを止めることもできなくて…




泣き続けていたわたしは、彼の上半身が起き上がっているのに気づいた時には、彼の腕の中にいた。




「…え?!ウ…ウルキオラさんっ!!」




突然の彼の行動にわたしは驚き変な声が出た。





わたしを抱きしめる彼から小さな声が聞こえた。





「…俺は…生きても…いいのか?」


「…。」


「生きていいのか…。」


「…生きて…いいんですよ。
確かに…ウルキオラさんは、わたしの大切な人達を傷つけてしまいました。
でも…ウルキオラさんはわたし達のことを助けてもくれました。
感謝しているんです。



ありがとうございます。」




わたしを抱きしめる彼をわたしも抱きしめ返した…。







―――――――――――――――――




(それに、わたしはウルキオラさんにまだ、心のことを教えて差し上げられなかったので!)

(……心の在処なら既にわかった。)


(え…!?)


(心とは…この手の平に在るものだ)


(…?)


(つまりは、お前と触れ合ったこの手の平と言うことだな。)


(////)




thanks:確かに恋だった



あとがき[→#]



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