無垢な誘惑者


「あ!グリムジョー発見っ!!!」


「あ゙?」




俺の隣を歩いていた織姫は、グリムジョーを見つけると、グリムジョーに向かい走り出した。





…何故、奴がいたくらいで、嬉しそうな顔をしながら走り出すんだ。
俺は、訳のわからない感情を感じながら、織姫の後を歩き出した。






「グリムジョー久しぶりだね!もう、怪我してない?」



「怪我なんかしてねぇよっ!」


「そう?良かった!」






グリムジョーの奴が、織姫の視線を反らしながら答えているが…
その奴の行動や表情は、照れ隠しのように見えなくもない。




いや…奴の行動等はどうでもいい。
織姫が、グリムジョーなどの怪我を気にしている…だとっ?

そもそも、お前はグリムジョーと何時親しくなった?




俺と話すよりも、明らかに親しそうに見える光景に不快感を感じる。





「グリムジョーにケンカしないでって言っても、聞いてくれないからな〜。怪我したら何時でも部屋に来てくれて大丈夫だからね!」


「…おぅ」





なんだ…二人の会話に言葉にできぬ不快感がどんどん増してくる。





「お前のあの術は、よくわかんねぇけど、アレはお前みてぇな温かい感じが…」


「え?何?」


「なっ!…何でもねぇ!!!」





織姫には、はっきりと聞こえなかったようだが、俺には奴の言葉が聞こえていた。



話をする織姫と奴は、俺の存在を忘れているような気さえする。






「グリムジョーの髪ってどうやってセットしてるの?」


「別に髪なんてどうこうしてねぇよ」


「えっ!!?そうなの?でもいつも同じだからセットしてるのかと思ってた!グリムジョーの髪水色で綺麗だよね」




そう言いながら、織姫は奴の髪に腕を伸ばし触れている。







「俺なんかの髪より、お前の髪の方が綺麗だろ」


「え?」




奴の手が、織姫の髪に触れようと伸ばした。






限界だ…。














バシッ!!!







「あ゙?」



「へ?」





俺は、織姫に伸ばしていた奴の手を払いのけ、織姫を引き寄せた。














「触るな」
















引き寄せた織姫を、俺は腕の中へ抱きしめた。






「ふぇっ!!?ウ…ウル…ウルキオラさんっ!!?」


「なにしてんだテメェ!!」






俺のいきなりの行動に腕の中に収めた織姫が慌てているのを感じる。

奴も動揺しているが、奴はどうでもいい。




そんな織姫を更に抱きしめた。





「もう話はいいだろう。部屋に戻るぞ、織姫」


「ひゃう!!////」





織姫の苦手としている耳に囁くように呟くと、織姫の身体が反応する。







「お…お前っ!!?」


「何だ?」


「『何だ?』じゃねぇよ!!お前らそう言う…」







「ああ。こうゆう関係だ」


「えっ!!?ちょっウ…ウルキオラさんっ!!」


「…二度と触れようなど考えるな。
触れたら貴様のその五体、無いと思え。…行くぞ」







俺は、抱きしめていた織姫の手を引き、織姫の部屋に向かうため歩き出した。





「ウ…ウルキオラさんどうしたんですか?ちょっと、痛いですよっ!?」


「二度と奴に、あんな顔を見せるな。」




















その場に一人取り残されたグリムジョー…



「いつも無表情なアイツがあんな顔するとはな…。」




一人呟いていた。





thanks:確かに恋だった




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