頬に触れるひんやりとした感触


※現世パロ(同棲してます)






「あれ?」




「どうした」




ウルキオラと織姫は買い物の帰り道。

急にウルキオラと話をしていた織姫が、会話を止め、自身の頬に触れ、曇った灰色の空を見上げた。



「今ね、冷たいモノが当たったような…」


「…雨か?」


「う〜ん…」




雨かとウルキオラに聞かれ戸惑う織姫。
「雨のような…でも…」と織姫は考えているが、雨なら早く家に帰る必要がある。
なにせ、二人は傘を持って来てはいなかった。


ウルキオラは買い物袋を持っていない手で、織姫の手を掴み歩き出した。



「ふぇ?ウルキオラ?」


「この天気だ。雨が降ると厄介だ。さっさと帰るぞ」








織姫の手引っ張り暫く歩いている時だった。




「あっ!!!」


「今度はどうした」


「ウルキオラ!上見て!上!!」




急に騒ぎ出した織姫に訳のわからない顔をしながらも、ウルキオラは空を見上げた。


すると、灰色の空から白い雪がふわふわと落ちてきていた。




「ウルキオラ雪だよ!」


「あぁ。雪だな」


「綺麗…」




雪に見とれ、織姫は立ち止まった。
織姫につられ、ウルキオラも立ち止まった。



織姫は両手を胸の前で、すくうような形をしていた。





「何をしている?」


「こうやったら空から落ちてくる雪が…あ!落ちてきた♪」




織姫の手を見ると、雪のふわふわとした塊が何個か落ちてきていた。




「ウルキオラ見てみて!!この雪わたしの六花と似てるよ!」

「そうだな」




織姫の手に落ちてきた雪を見ると、六花の形をしていた。




「あ!!溶けちゃった…」


しかし、六花の形をした雪はあっという間に温かい織姫の体温に溶けてしまった。




「綺麗だったのにな…」




織姫は残念そうな顔をしながら手のひらを見つめていた。




「そんな顔をするな。雪はまた降ってきている。明日には積もっているんじゃないか?」


「うん!そうだよね!」





織姫はウルキオラに笑顔を向けた。




「雪ってなんだか、ウルキオラみたいだよね」


「何だ急に、俺が冷たいからか?」


「た…確かに、ウルキオラはわたしよりも、体温が冷たいけどそれだけじゃないよ!!
雪みたいに、白くて…綺麗で…ずっと見ていたいって思うんだよ!

…でも

…雪みたいにわたしの前から消えちゃいそうな…不安を感じちゃう…」


「そうか…」





そう言うと、織姫はまた俯いてしまった。

そんな織姫をウルキオラは見つめながら、そっと俯いた織姫の顔の頬を両手で触れ、織姫の顔を上げさせた。




「ふえっ!!?」





ウルキオラの突然の行動にビックリする織姫。





「織姫…俺は冷たいが雪ではない。
此処にいる。
お前と共に生きているんだ。
お前をおいて、消えたりはしない」





織姫の頬に触れていた手を動かし、織姫を抱きしめた。




「ウ…ウルキオラッ!!?ここ…そ…外だよ!!」


「外だろうが関係ない」




抱きしめられたウルキオラからは、確かに心臓の音がする。


生きている。

ウルキオラは今生きているんだ。



ウルキオラからの心臓の音に安心して、織姫もウルキオラを抱きしめ返した。



「…うんっ」




抱きしめた織姫からは、涙ぐんでいるような声を出しながらウルキオラの腕の中で頷いた。














「さっきよりも雪が降って寒くなってきたな。家に帰るぞ」



「うん!帰ろうウルキオラ」








ウルキオラと織姫は再び手を繋ぎ家に向かい歩き出した。








thanks:確かに恋だった





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