ある日の雨の日


※現世パロ











「……こんなものか」


鍋に出来たビーフシチューの味を味見し、ウルキオラは火を止め鍋に蓋をした。




キッチンから出たウルキオラは
ふと、窓ガラスが濡れているのに気付いた。




「今日は雨など降るなど言っていなかったはず…」




昨日の天気予報では、降水確率は間違いなく0%だった。



織姫は今日は部活に行っており、帰りが少し遅いと昨日言っていた。

傘など持っていってはいない。


折りたたみ傘は…





此処にある。











ウルキオラは上着を羽織ると、鍵と傘を手に玄関に足早に向かった。







――――――――――――――――――














「ありゃりゃ…雨。」



部活が終わった織姫が帰ろうとすると雨が降っていた。



「今日は雨降らないって言ってたから、傘持ってこなかったのに…」



雨は止む気配などなくザーザーと降り続けている。





(うん!ウルキオラも家で待ってるし帰らなきゃ!!)



意をけして、織姫は鞄を頭の上に乗せ雨の中走り出した。



















「あわわっ!雨がひどくなってきちゃったよ…」



鞄を頭に乗せながら、帰り道を走っていた織姫だったが、これでは上手く走ることが出来ないことに気づき、鞄を右手に掴み走っていたが、雨は勢いを増していた。


服は雨の水を吸い込み、織姫の肌にくっついてしまっている。




「…あれ?」





ふと前から見覚えのある傘をさした人が、回りをキョロキョロと見渡しながら走っているのに気がついた。





「…ウル…キオラ?」







「ウルキオラー!」





織姫は声を大きく出して、前から走って来るウルキオラに声を掛けウルキオラに向かい走り出した。












(こんなに雨が降るとは…)





そんなとき…

遠くから己の名を呼ばれる声に気づいた。





「ッ!!?」



織姫の声が聴こえ、ウルキオラが声が聴こえた方に視線を向けると、雨に濡れビジョビジョな織姫が走ってきて…


ウルキオラも織姫のもとに急ぎ走り出した。










息を切らしながらウルキオラのところにたどり着いた織姫に、急いで傘をやるが…

既にかなり濡れている。







「ウ…ウルッ…」




織姫は走り疲れた為、息を切らしている。



「落ち着け。大丈夫…ではなッ!!?」




ウルキオラはあることに気づき、織姫の持つ鞄を取り、着てきた上着を急いで織姫に着せた。





「…え?!!ウ…ウルキオラ寒いでしょう!!?大丈夫…「早く前を閉めろ」



ウルキオラに少しキツイ口調で言われ、不思議に思いながらも、ウルキオラに着せられた上着の前を閉めようと織姫は視線を下に下げた。





「あっ!!!/////」





視線を下げた織姫は、気づき急いで前を閉めた。



雨に濡れ制服の白のワイシャツから下着が透けていたのだ。





「ウルキオラ…あ…ありがとう///」


「あぁ…」










帰り道






「ウルキオラ迎えにきてくれたんだね。ありがとう!」


「外を見たら雨が降っていた。
お前が傘を持っていっていないのに気づき急いだが…。
間に合わなかった…」


「ううん!!ウルキオラが走って迎えに来てくれて、すごく嬉しかったんだよ!ありがと…ふぇ?!」






隣を歩くウルキオラに織姫は手を握られた。







「…冷たいな」


「ウルキオラの手は温かいね。いつもより温かくて…へっくしゅん!!」






ウルキオラは掴んだ織姫の手を、引っ張り帰り道を急ぐ。




「あわわっ!!ウルキオラッ!!?」


「早く帰って風呂に入れ。風邪を引く」





「う…うん!」
















(今日の夜ご飯はなんですか?)


(ビーフシチューだ)



(やった〜!わたしウルキオラの作ったビーフシチュー大好きです!)



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