寝顔
「…んっ…。」
今が何時なのかは、わたしには分からないけれど、目が覚めたわたしは、いつもわたしより先に起きているはずのウルキオラさんに声をかけてみる事にした。
「ウルキオラさん…起きて…ますか?」
隣に眠るウルキオラさんに声を掛けてみたけど、ウルキオラさんが返事もなく、動く気配を感じなかったわたしは、ゆっくりと身体を動かし、ウルキオラさんを見た。
「あっ…」
ウルキオラさんは、まだ眠ってた。
普段いつもわたしより早く起きているから、ウルキオラさんが眠っている姿をこんなに近くで見るのは初めてだった。
胸を上下にゆっくりと動きながら、ウルキオラさんの小さな寝息が聴こえる…。
真っ直ぐにわたしを見つめてくれる瞳は閉じられ、眠る姿は普段のウルキオラさんよりも幼く見えて、とても可愛い…
ゆっくりと手を伸ばし、眠るウルキオラさんの顔にソッと触れた。
わたしが触れた途端に、ウルキオラさんの眉が僅かに動いたので、起こしてしまったのではないかと、ちょっと焦っちゃったけど、ウルキオラさんが眼を覚まさなくてホッとした。
まだ、ウルキオラさんの珍しい可愛い寝顔をこっそりと見つめていたい…。
そんな気がしたから。
ふと、ウルキオラさんの瞳の下にある仮面紋に目がいった。
起きている時も泣いているように見える仮面紋は、眠るときでもやはり泣いているように見えた。
泣かないで…。
そんなことを思いながら、涙に見える仮面紋を拭うように手で触れるけれど…やはり仮面紋は消えることなどない。
「何をしている」
ウルキオラさんの声にビックリして、思わずウルキオラさんの顔に触れていた手を離すと、その手を掴まれ引き寄せられた。
眠っていたウルキオラさんの瞳がゆっくりと開かれ、わたしを見つめる。
(あ…。起きちゃった)
まだウルキオラさんの寝顔じっくり見ていたかったのにな…ちょっと、残念。
「どうした。聞いているんだ織姫」
ウルキオラさんに再び声を掛けられて、わたしは我に返った。
「え…えへへ。わたしよりかウルキオラさんが起きるのが遅かったのが珍しくて、ウルキオラさんの寝顔を見つめてました」
「……。」
あ…怒られちゃうかな?
「俺の寝ている顔など見てどうする」
「え?特にどうするという訳では無いですけど、眠るウルキオラさんの顔、すごく可愛かったですよ♪」
あ…眉間に眉寄せてる。
ちょっと不機嫌になっちゃった顔だ。
「…可愛い等言うな」
「だって、すごく可愛かったんですもん♪」
(ですから、また、わたしの隣で安心したような安らかに眠る寝顔をみせてくださいね)