そんな無邪気に触れないで
俺がお前を此の場所に連れてきた。
お前の能力を藍染様に見せ…伝えた。
お前の仲間を人質にし、拒否という選択をお前の中から完全に無くし、お前に命令を下した。
例えそれが、藍染様の命であったとしてもだ。
なのに…
お前は、俺に対し不満も言わず、俺の前で泣くことなどなく、弱音を吐くことすらない。
此処に女を連れて来てから月日が立つに連れ、女から俺に話しかける事も多くなった。
その度に女は
俺を見つめ微笑みながら話しかける…
何故…俺に笑いかけられる…?
お前にとっては、俺は恨むべき…憎むべき対象であるはずだ。
…理解ができん。
「ウルキオラさん。手を出してもらってもいいですか?」
女に言われ俺は右手を女に差し出した。
なんの躊躇いもなく、女は俺の手を両手で包みこんだ。
「やっぱりウルキオラさんの手は冷たいのですね。」
俺は既に死んだ者だ。
体温など無い。
「でも、ウルキオラさん知っていますか?手が冷たいと『心』が温かいのですよ!」
『心』…だと…?
そんな目に見えぬモノなど俺は持ってなどいない。
そう女に告げようと、俺は口を開いたが…
俺の手を包み、微笑み続ける女の顔を見ていると、その言葉を俺は口にすることができなかった…。
(俺の孔が、僅かに脈打つような感覚が身体から起きた…)
thanks:確かに恋だった