忠犬の憂鬱






「忠犬バッキーの続き」のリクを下さった柊子さんに捧げます。遅くなって大変すみませんでしたー!(ジャンピング土下座)





「あの…永田さん。どうにかなりませんか?これ…。」
「うん、うん!なかなか良いんじゃない?似合ってるよ椿くん!」

多分聞いて無いんだろうなぁ、なんて思いながら俺は永田さんへの呼び掛けを続けた。
事の起こりはいつもの練習後、永田さんにちょっと用があるからって呼ばれたと思ったらあと言う間に犬の着ぐるみを着せられて…。うん、俺流されてる。

「ファン感の時とかこの格好で出たらサポーターにウケるかもね」
(多分それお笑い的な意味でですよね!?)

先日発売された新しいETUのグッズこと縫いぐるみ『忠犬バッキー』は予想以上の売り上げを見せ(永田さん曰く、だから多分そうなんだろう)第二弾の発売が決定したとかしないとか…。うん、あまり考えたくない。

「せめて、普通のユニフォームとかだと嬉しいんスけど…」
「着ぐるみ着用じゃないと意味ないの!」

灼熱の太陽の下、犬の着ぐるみなんか着て(しかもその上からホームじゃなくてアウェーのユニフォームを着てる)俺は何をしているんだろうかと思う。暑いなんてレベルはとっくの昔に超越してるし、ダラダラと流れる汗は身体の中から容赦無く水分を奪って行く。

「『忠犬バッキー』第二弾はアウェーのユニフォーム仕様になる予定だから、今日はその販促のポスター撮影って訳。だから着ぐるみ着てなきゃ駄目」
「そ、そうだったんスか…」

そう言えば貰った後寮の部屋に飾ったきりあまり目にすることのなかったあの縫いぐるみを思い出す。確かに、前回はホームのユニフォームだったっけ…。

「あと、何か分からない事ある?撮影はもうすぐ始まるからね」
「じゃあ…あの、永田さん。その縫いぐるみって他の選手モチーフの物は出ないんですか?」

何気なく発した一言は前から気になっていた事で、当然他の…ザキさんとか世良さんとかの縫いぐるみも出ると思っていたから、俺の一言を聞いた後の永田さんのぽかんとした表情はとても意外だった。
…あれ、違った…のかな。

「……。」
「な、永田…さん?」
「椿くん、それ良い!凄く良い!撮影だけ終わったら皆と相談してみるね!」



後日、意気揚揚とチームのミーティング中に選手の動物化縫いぐるみの企画を持って来た永田さんがいたのは言うまでも無い…って思う。

「つーばき、あの企画案出したのお前なんだってな?」
「え」
「お陰で俺らまで着ぐるみ着てポスター撮影だよ!」
「それは…あの、す、すみません」


チームとは、一蓮托生なんです! 

2010/9/8/wed

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