四次元の入口を探せ






「オタ赤崎×椿の続き」のリクを下さったゆうむさんに捧げます。宜しければお受け取りください!




「ずっと、ずっと…好きだったんです…。これからも赤崎さんの隣にいたいんです!だから…側にいてくれませんか?」

彼女とのエンディングは五度目を数える。真っ赤に染まった顔に子犬の様な愛らしい瞳。正直飽きるなんて有り得ない。五度目の攻略ともなると行動パターンは決まり切った物となるがそれでも良い。(選択肢を試し切って様々な反応を堪能した後だし)
彼女の表情は見ていて飽きがこない。クルクルとよく切り替わるその表情はとあるチームメイトを彷彿させる。

「…って、違うだろ!」

なんでそこで椿を連想しなきゃなんねーんだよ!椿は彼女と何の関係もないんだからな!?(逆にあっても困る!)
只、ちょっと彼女に雰囲気が似ていてオドオドしてる時の感じが出会ったばかりの頃の彼女の態度にそっくりで思いっきり笑った時の顔が彼女そっくりなだけだろ!?
…あれ、これってやっぱり俺椿の事を意識してるんじゃ…

「んなことあってたまるか!」

恐ろしい考えが頭を過ぎり末恐ろしくなる。俺が椿を好きだ?無い無い、絶対無い!
俺の嫁って決めたのは彼女しかいない。血迷うな、俺!

「仕方ねえ…別のデータでもやり直すか?」

そうだ、それが良い。主人公が風邪で寝込んだのを彼女がお見舞いに来るイベント。
主人公の体力ゲージが極端に減らないと起きないイベントでこれ専用のスチルまである美味しいイベントだ。…まぁ、休養している分だけ教養とか他のパラメータは上がらないけど。

「風邪引いたって聞いたんです。…大丈夫ですか?」

  「もう治った」
 →「君が来たから平気」
  「帰れ」

正解としてはこの選択肢なんだけどな…。
そっけない返事をすると戸惑った表情が見れるし帰れって言えばしょんぽりした表情のスチルが手に入るし…。皆捨てがたいんだよな、要するに。

再三見たイベントにも関わらず暫く悩んでいると入口のドアが叩かれる音が聞こえる。
正直邪魔だと思いつつイヤホンを外しテレビの電源を消す。…ゲームの電源は落とさなくても良いか。どうせすぐに戻って来るし。

「…あの、すみません!椿です。」
「…椿?」

少し痛んだ玄関のドアを開くとそこには彼女…基椿が立っていた。
いや、ちょっと待て。なんなんだこれは!心の準備がどうとかそういう問題じゃ無いだろ!?なんでよりによってこのイベントの時に来るんだよ!

「これ、実家から送られて来たんす。挨拶も兼ねて配って回りなさいって。」
「…アパートに引っ越して来たのと訳が違うんだぞ?…まぁ、サンキュな」
「そう言えば昨日の…」
「え?」
「待ち合わせの場所の話なんすけど…」

昨日のアレか…!
やっと忘れられそうなところだったのにどうしてそれを掘り返すんだ!あの後大変だったんだぞ!丹さんや夏さんには絡まれるし世良さんには爆笑されるし…。

「あれは忘れてくれって言っただろ」
「あの、赤崎さんさえ良かったらここら辺案内して貰えませんか?」
「え…」
「俺、来たばっかりで近くに何があるかとかよく分からないんす。……いや、あの…無理、ですよね?急にいきなりなんて…」

どんどん声が小さくなって行く椿を見ると彼女が手をつないで欲しいと主人公にお願いをしてくるシーンと被る。勇気を振り絞って言って見た物の断られたらどうしよう、とか思ってる感じの表情。
あの時はどうした?
不安げな彼女にどう言った?


そうだ、あの時は…

「別に無理じゃねえよ。どこ行きてえんだ?」
「…本当ですか!?」

やっちまったー!
…何で声に出すんだ俺!別に用事も無いけどマズいだろ…!主に理性的に。

「じゃあ、次の日曜。よろしくお願いしますね!」




理性の我慢大会の日取りが決定しました。 

2010/8/25/wed

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