三次元で恋をする?






!注意!

前回の続きでやっぱり
オタ赤崎×椿です。


耐えられる人は















にこりと俺に微笑んだ顔は正しく画面の中に居た彼女そのもので、暫く目が離せなかった。残念だったことと言えば性別が男だったことくらいなもので、立ち振る舞いやしゃべり方はほぼパーフェクトだった。
その口から紡がれる声が変声期を終えた男性のものであるのが非常に惜しいと思う。スポーツ選手なので当然だが、しっかりと筋肉がついた身体は女性の身体のラインには程遠い。(彼女はサッカー部のマネージャーだし、椿と比べる方がおかしいか)

「なー赤崎。お前さっきからどうしたんだよ。ぼーっとしたりして。」

体調悪いの?とか脇から話しかけて来た世良さんを見て、せめて身長もこれぐらいだったらもっとぐっと来るのに、とか考える。

「別に、なんでもないっスよ。それにしても世良さん今日も小さいっスね」
「なんだと!?」

人が折角心配してやってんのに!とか聞こえて来る様な気がするけど気にしない、と言うよりは気にならない。というか、ピッチの隅の方で後藤さんに連れられて村越さんと話している椿のことの方が気になって気になって仕方がないと言う方が正しい。
暖かな笑顔とかちょっと戸惑っているその表情がテレビの前に座って何時間も格闘しながらようやく手に入れた数々のスチル達に重なる。オフの日には時間を忘れてしまいつい貫徹したこともあったが、彼女のスチルを全て手に入れた時の達成感は今でも忘れられない。

「あのっ、よろしくお願いします!」

彼女と初めて出会う場面の回想をしたり初めてデートに誘ってオッケーを貰った時の事を思い返していると、聞き慣れない声がした。ふ、と目線が合う。


彼女がいる!!


思わず後ずさってしまったが、落ち着け、落ち着け俺!あれは椿。新しいチームメイトだ。間違っても彼女なんかじゃない。だってその証拠にあいつの声は野太かったじゃないか!

「えっ!?あの、俺何かしました?」
「べ…別に、ちょっと驚いただけだから気にすんな」

必死に取り繕うけど心臓がバクバク言うのが止まらない。どうしよう、これ以上動悸が激しくなったら俺どうにかなっちまう。
目の前では先程の後ずさりをしたのがいけなかったのか椿がビクビクと俺の方を見ている。とにかく、なんか言わないと。何か、何か…。



ふと、そう言えば卒業式の後のデートの待合せ場所決めてなかった様な、なんて昨日のゲームの事が頭を過ぎったら思いも寄らない言葉が口を付いて出た。


「待ち合わせ場所は噴水広場の前だからな!」


目の前の椿に限らず周囲の人間の目が点になるのが見えた。



俺の大馬鹿野郎! 

2010/8/16/mon

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