世良と堺さん





幽霊だとか妖怪の類って案外暇だ。
正直太陽の出てる間ってやる気出ないし、夜だって堺さんとか椿は寝ちまう。大体、俺座敷童だから特に人間脅かしたりだとかそう言うの無いんだよなー…。

「お前真っ昼間から横になってテレビなんか見てんじゃねえよ!そんなだらだらした座敷童見たかねえんだよ!」
「あれ、堺さん今日は仕事じゃないんスか?」
「休みだ休み。」

聞き慣れた声。堺さんは『視える』人だから部屋の中にいる俺を見つけることが出来る。むくりと体を起こして声をした方を向くと私服姿の堺さんが呆れた顔でこちらを見ていた。

「だって、俺らって昼間は暇なんスよ。いわば夜間営業の店みたいなもんっス」
「…いや、店と幽霊一緒にすんのはなんか違うだろ」
「それに昼間に幽霊出ても怖くないじゃないっスか!」
「だからって家でゴロゴロすんな!座敷童の仕事してろ」

そもそも俺居るだけで福を呼んじゃう訳で、家にいるのが仕事なんだよな。出て行ったらこのアパート廃れちまう訳だし。ま、…どっかの旅館に棲み憑いてる奴ほど俺は大きい福は呼び込めないけんだけどさ。

「俺の仕事は家に居候することっス!」
「…そうかよ」

そう元気良く答えてみれば深くため息をついて堺さんはがっくりとうなだれた。

あれ、堺さん?
おーい、さーかいさーん!
堺さーん?堺さんたらー!
おーい!堺さ…

「うるせえ!」

 

2010/8/6/fri

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