ETUは海に来ました
「…えー。暑い!そう言う訳で今日はこれから海に行きたいと思います」
アイスを口に加えたまま達海は高らかにそう宣言した。
確かに今年は例年にないくらいの猛暑であり、ここETUのクラブハウスも例外ではない…が流石にこう来るとは予想外だ。確かに先日誰だったかが「海行きてー!」とかランニング中に怒鳴っていた気もするが。
「いや、全然意味分かんないんスけど!」
「脈絡無いにも程がありますよ!」
「いいからいいから。お前ら、荷物持って正面玄関に集合!」
・ ・ ・
青い空
白い雲
照りつける太陽
打ち寄せる波
海上に漂うパッカくん
「いや、誰か突っ込めよ!」
「何だよー、クロ。そんなに取り乱して何かあった?」
「あった?じゃねえよ!見ろよ、おかしいだろ!」
黒田が指差した先には先述の通り波に揺られて海上を漂うパッカくん。ぼんやりとそちらの方を見ながら達海は何がおかしいのかと首を傾げる。
「や、パッカもETUの一員だし別に良いんじゃない?」
「着ぐるみが入水してる時点でおかしいだろうがよ…。」
がっくりと肩を落とす黒田の肩を杉江が軽く叩く。お前はよくツッコんだよ、と言葉には出なかったがきっと彼には通じただろう。
「椿ー!テトラポットの辺りまで競争しようぜ!」
「ウ、ウス!」
「赤崎お前もどう?」
「はぁ…まぁ、別に良いっスよ」
バシャバシャと連れ立って遠泳に行った世良や椿達を見送りながら達海はやれやれと一息ついた。傍らのビーチパラソルの下では完璧に紫外線対策を施したジーノが仰向けで寛いでいる。
「タッツミーがた溜め息をつく事なんてあるんだね。何かあったのかい?」
「ま、人並み程度にはな」
「練習もそこそこに海に行こう、だなんて何か考えがあるんじゃない?」
「…さぁね、考えすぎだろ」
にんまりと笑みを浮かべながら達海は空を見上げた。
太陽は尚もギラギラと輝いている。
・ ・ ・
「えー…では、次の試合のスタメンですが…今日海でちゃんとガス抜きしてた奴から選びます」
「はぁっ!?」
「ふざけんな!」
「ほら、ロクなこと考えてない!」