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calling
2010/09/12 03:36
日記で書いてた25歳達海と現代椿のオカルトじみたパラレル。
どうしても文にならなかったのでこっちに収納。機会があったら再挑戦したいなぁ…。
【経緯】
椿の携帯に達海さん(25、渡英済み)から時間を超えた間違い電話がかかってきました。
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様々な経緯でちょっとずつ親しくなっていく
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16巻の出来事
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精神的な部分を椿に支えで貰う達海
↓
でも甘えすぎてそのうちお互いに駄目になりそう
↓
お互いのために別れましょう←今ここ
なんていうか、フィーリングでお願いします。
「なぁ、椿。電話越しで顔も見たことなかったけど、間違なく俺はお前に恋をしてたんだと思う。」
「…達海さん」
すっと受話器の向こうで達海さんが息を吸った音が聞こえる。
何となく次に聞こえて来る言葉が予想出来てしまって耳を塞ぎたくなってしまう。でも、出来るだけ達海さんの声を聞き続けていたいのも事実だった。
「今までありがとな。もう、お前に電話はしない」
酷く優しい声だった。
「何でですか、俺は只…あなたの、達海さんの声が聞きたいだけなのに!」
だからこそ認めたくなくて、結ばれない理由が分かっているからこそ達海さんとの繋がりを絶ちたくなくて、子供染みていると分かっていながら駄々を捏ねた。
「椿、会いたいよ」
「はい」
「好きだ」
「はい」
「愛してる」
「…俺もです」
達海さんの声が聞けなくなるのが怖い。その声を聞き逃す事がない様に受話器に耳を押しつけた。
「受話器、置きたく無いな」
「なら、置かなきゃ良いじゃないかないっスか…!」
「でも駄目だよ」
「何でですか!」
「分かるだろ?電話越しじゃお前に触れられない。十年後の俺みたいにずっとお前の横にいてやれない。」
「そんなのっ…気にならないです」
受話器の向こうの貴方はどんな表情をしているんだろう。
やっぱり困った様に笑っているんだろうか?それとも全く俺が知らない表情をしてるんだろうか。
「でも、もう決めた。」
「達海さん…」
「じゃあな、椿。また十年後に。」
プツリと電話は切れて、それっきりだった。
あれから待てども待てども彼からの電話はない。彼の宣言通り過去からの電話が来る事はもう無いのだろうと思う。
それでもまだ電話が鳴るのを待ち続けている俺は愚かなのだろうか。
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