3


「……志賀ちゃん、傷になっちゃうよ」

いつの間にか俺は自分の手を噛んでいたらしい。軽く歯形がついている。

「噛むくらいだったら、俺の手舐めてよ」
「ん、ぐ……ッ」

後ろから強引に指を口の中に差し入れられて、夢中でそれをしゃぶった。
相変わらず仁科の手は俺のを扱いているから興奮は倍だった。もしかして俺、ちょっとM入ってんのかな。

「……ふぁ、ぅ、んん……」
「ん。いいカンジ。志賀ちゃん、いい子だねぇ」

褒められるとキュンとした。俺の扱い方をよく分かってんな、マジで。
俺のよだれでべちょべちょになった仁科の指はいつしか抜け出して、俺の尻を撫でた。指先でぬるぬると唾液をそこに広げられる。

「うー……あの、さ、マジでやんの?」
「するよー?こんなえっちでとろとろな志賀ちゃん目の前に、今更やめるわけないでしょ」
「うう……」

仁科の指は、俺のうしろの穴をゆっくりじっくり広げていった。異物感がスゲーのに、ほとんど痛くないってのはどういう仕組みだ。
指で慣らされて、俺がもうだめもう限界って膝がガクガクしてきたときに、仁科の指がやっと抜けた。そしてゴムの空袋がデスクに投げ捨てられる。
……コイツがゴムを常備してることくらいで驚いたりしないからな?引くけど。
先端が俺のケツの谷間に擦りつけられる。たっぷりジェルが付いてるタイプのゴムらしくてなんかすげえぬるぬるする。

「あっ、うわ、待って待って!」
「なんでそんなひどいこと言うかなぁ。……待てるわけないじゃん?」
「あっ……あ、んっ!」

先っぽがめり込んでくる。その衝撃に耐えるように俺はまた自分の指を噛んだ。

「ほら、噛まないで。息詰まっちゃうよ」
「ん、んっ、ぅ、はっ……」

優しく囁く仁科の声。そうして俺の手を指を絡ませて握る。
繋がってるところはあんまり痛くない。むしろ噛んだ指や吸われた背中のほうがチクチク痛い。……ああ、痛みが別のとこに分散されてそれほど感じないだけなのかな。
仁科がゆるゆると出し入れする。あのでかいのが俺の中に入ってると思うと、いつもながら本当に変な感じだ。

「あ、あ、んッ、に、しなっ」
「うん」
「仁科、ぁ、あっ、あっ……!」

緩やかだった動きがだんだん大胆になっていく。仁科が俺のチンコを再び擦りながらイイところを的確に突いてくるから、もう、何も考えられなくなった。
熱い。気持ちいい。好きだ。仁科が。

「はぁ、はっ、ん、んんっ」
「志賀ちゃん、いつもより、すごい感じちゃってない?」
「ば、かっ……」
「俺もさぁ、めちゃくちゃイイから、おあいこ。ね?」

ぐちゅぐちゅかき回されながらエロ声で煽られて、マジでもうとろとろ状態。
やべえ、なにこれ。こういう、普段色んなヤツが出入りするような場所でやってるから燃えてんの?俺も、コイツも。

「気持ちい、い……も、やだ……あっあっ」
「ほんと、志賀ちゃんってかわいい。大好き……」
「ぅあっ……」

耳に直接低い声が響いてきたから、ゾクゾクして軽くイってしまった。力が入って仁科のを締め付ける。
それと同時に、たぶん俺に合わせてくれたんだろうけど、仁科も低く唸ってイったみたいだった。
お互いに荒く息を吐く。俺の体は汗に濡れたデスクにぐったりと脱力した。

ゆるやかに動きを止めた仁科は、突然、俺の頭を傾けさせた。仁科の唇が左側の首筋に吸い付く。
そうして頚動脈のあたりを強く、ひときわ強く吸われた。
少し苦しくて、仁科の本心が覗いた気がして――。

「……天佑」


息が、できない。



end.

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