サンプル(媚薬)


 グラスが机の上で倒れ、中の液体が零れた。

「お前、ジュースに何か入れた……?」
「んー……えっちになるお薬?」

 実に無邪気に、楽しそうに言う仁科。えっちになるお薬、という妙な単語を聞いて俺は愕然とした。

「はっ!? マジで言ってんの!? はぁ!?」
「変な薬じゃないよ。ただの精力剤だしぃ。大丈夫、俺もさっき試しに飲んでみたから」

 ほら、と指差した先は下半身で、仁科のそこは服の上からでも分かるくらい盛り上がってる。ヤツのデカいのを思い出して、ごくりと喉が鳴った。


〜中略〜


「あっ! あっ、や、だ、やめ……っ」
「どぉして?んっ、なんかいつもより締まってる感じ、すご……」

 俺のナカが締まってるんじゃなくて、お前がいつもよりデカいんだよ!という言葉は喘ぎ声にかき消されて出せなかった。
 うしろから容赦なく突き上げられるもんだから、シーツに爪を立ててその衝撃に耐える。

「ちょ、もっ……やだ、やだって……ぅあっ」
「だって、これ、出さなきゃおさまんないし。志賀ちゃんも、んっ、何回も出してるじゃん」

 仁科の言うとおり、俺はここに至るまでにすでに何回も射精していた。なのに、おさまるどころか全身がずっと熱くてたまらない。
 かく言う仁科もゴムの中で二回くらいイってるはずだ。こんなにしてるのに、ずっとイってるみたいな絶頂感が続いている。

「お、おかし、いって……あっ、まじ、ほんと、俺、もうダメ……仁科、にしな……っ」
「……ちょっと体勢変えるね」

 突然チンコが抜かれ、くるりと反転させられる。ぼんやりと仁科を見上げたら額に汗を滲ませながら微笑む美貌が目に入った。

「……仁科……んっ」

 噛み付くように唇を塞がれる。
 俺は仁科の肩に腕を回して引き寄せた。重ねた唇は熱く濡れていて蕩けそうだ。
 唇を触れ合わせ、角度を変えて何度か吸うだけでイっちゃいそうだ。

 キスをしながら再び俺の中に硬いものが入ってきた。仁科を抱きしめる腕に自然と力が入る。

「……志賀ちゃん、とろっとろ」

 唇を触れ合わせながら、喉で笑う仁科。それは俺のアナルのことか、それとも俺自身のことか――。

「ふふ……かわいい。好き」
「んっ、あ、あっ……」

 正常位で、今度はゆっくりと抜き差しされる。
 もう、理性なんていらないと思った。


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